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2016 年度 実施状況報告書

精巣特異的PKCデルタKOマウスを用いて男性不妊・不育の原因を探る

研究課題

研究課題/領域番号 15K10689
研究機関昭和大学

研究代表者

新野 由子  昭和大学, 医学部, 兼任講師 (60398683)

研究分担者 小倉 潔  公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主任研究員 (70233492)
多屋 長治  公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 室長 (90175456)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードPKCdelta / 精巣 / 精子 / 発生 / ノックアウトマウス
研究実績の概要

2011年に科研費を受けて作出した、オスの精原細胞、精母細胞、精子細胞でPKCデルタ遺伝子を欠失するマウス(RBRC06463/理研に寄託済み)のヘテロのタイプを理研から購入し、生まれてくる子マウスの遺伝子型を確認した。理研に寄託前に行った研究では生まれた80匹中にホモノックアウトマウス(Ho)はいなかった。
今回、PKCデルタ遺伝子をヘテロに持つ親から生まれたのは、野生型(WT):ヘテロ(He):ホモノックアウト(Ho)=60:145:7であった。全212匹中、Hoは7匹生まれ、それは全体の3.3%に相当する。割合は、本来ならば、WT:He:Ho=1:2:1のところ、28:68:3(%)となった。これはPKCデルタホモノックアウトマウスがまったく生まれないというわけではないが、非常に生まれにくいことを示している。また、生まれてきたHoマウスの内訳は、メス6匹とオス1匹だったが、どれも生まれた直後か、約半年以内に死亡しており、生存に難があるように思われる。また、HoとHeの交配で産まれた子マウスは、本来Ho:He=1:1のはずが、3:26となっており、Hoマウスが生まれにくいことを示している。更に、Ho同士の交配では、子どもはかなり生まれにくく、これまでに生まれた2匹は出生直後に死亡した。
次に、PKCデルタ遺伝子を欠損したマウスは発生のどの段階に問題があるのかを確かめるために、Heマウス同士を交配し、胎生11.5日胚の遺伝子型を確認したところ、4腹の胎児32匹はWT:He:Ho=12(37.5%):15(46.9%):5(15.6%)という結果だった。この結果はメンデルの法則に合っているとは言えず、着床までに困難があることも示唆されるが、Hoマウスが15%着床しているという結果であり、生まれてくる3.3%より高い割合で着床していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、PKCデルタヘテロノックアウトマウス(He)から生まれないと仮定していたPKCデルタホモノックアウトマウス(Ho)が、生まれてくること、ただしその数は出生個体数の3.3%であり、メンデルの法則から完全に逸脱していることを明らかにした。また、胎生11.5日胚の遺伝子型を確認したところ約15%のHo胚が存在しており、出生個体数中Ho個体が約3%であることから明らかに多に多いと言える。このことから少なくても胎生11.5日までは、Hoマウスは、生まれてくる仔マウスよりも高い比率で着床していることを明らかにした。
一方、初期発生において、着床前の胚の遺伝子型を確認できておらず当初の計画よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

PKCデルタ遺伝子を欠失するマウスが生まれてくることに大きな困難があることが明らかになったが、初期発生の決まったステージにおいて問題がある可能性の他に、発生ステージに特異的に発生が止まるというわけではなく、発生が進むに従って徐々に死んで行く可能性も考えられる。それを明らかにするために着床前の受精卵及び体内発生ステージを追いながらPKCデルタホモノックアウトマウス(Ho)の発生を調べて行く。

次年度使用額が生じた理由

本研究に使用するPKCデルタヘテロKOマウスは理化学研究所(理研BRC)から購入したが、初年度平成27年11月19日にマウスが搬入されたことから研究開始が大きく遅れている。そのためマウスの繁殖を含む研究の進行に遅れが生じ研究助成金の使用が少なくなっている。

次年度使用額の使用計画

現在、PKCデルタヘテロノックアウトマウス(he)の交配によりPKCデルタホモノックアウトマウス(Ho)は生まれるものの、出生個体のうち約3%という少なさであることがわかった。この理由を知るためにマウス初期発生の個体を調べることになり、次年度は多数の動物の飼育、培養、遺伝子解析に研究費を使わせていただく予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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