研究課題/領域番号 |
15K10689
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
新野 由子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (60398683)
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研究分担者 |
小倉 潔 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主任研究員 (70233492)
多屋 長治 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 室長 (90175456) [辞退]
後藤 孝也 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80284355)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PKCデルタ / ノックアウトマウス / マウス胎児発生 / 不育 |
研究実績の概要 |
PPKCデルタノックアウト(KO)マウス(RBRC06463/理化学研究所に寄託済み)のヘテロタイプのマウス(He)を用いて交配を行ったところ、研究期間内に産まれた子マウスは、野生型(WT):ヘテロ型(He):ホモ型(Ho)=101:266:15=26.9%:69.2%:3.9%、という結果だった。これは本来1:2:1となるメンデルの法則とは大きく異なる。本来全マウス中約25%産まれるはずのHoマウスが、なぜ3.9%なのか。この理由を探るためにWTとHoオスの精子と、WTメスの卵子を用いて受精発生実験を行ったところ、2細胞期までの受精および発生に差は見られなかった。これにより、仮説の1つであった、PKCデルタ分子は「受精・初期卵割への関与」という機能は持たないことが明らかとなった。次にPKCデルタKOマウスの体内での発生を調べるためにHeの雌雄マウスを交配し、11.5日胚(E11.5)を観察したところ、この時点で存在した胎児の割合は、WT:He:Ho=22:68:29=18.5%:57.1%:24.4%だった。この数値はメンデルの法則に近い。しかし、これらの胎児のうち心拍が確認できた胎児の割合はWT:He:Ho=16:61:9=18.6%:70.9%:10.5% であり、死んでいる胎児は吸収されつつあった。 マウスは発生のE9-E10の時期に肝臓や心臓など重要な臓器が発生し、それに問題のある胎児はその後発生しない。Hoの胎児はHe、WTに比べて多くがE11.5までに死んでいることから心臓、肝臓などの臓器形成不全を考え、生きているHoマウス胎児の組織標本を本研究期間内に作製した。また、成獣として生きているHoマウスの組織標本も作製した。今後これらを解析する。男性不妊という仮説は正しくなかったが、PKCデルタ分子が胎児の発生に重要な機能を持ち、胎児の不育の原因の1つと考えられる可能性を明らかにできた。
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