研究課題
single cell pulse field gel electrophoresis (SCPFGE)法における定量性確認を目的としてDNA切断陽性、陰性標準品を調製した。精液からOptidenz沈降平衡法、Percoll沈降速度差遠心法を用いて、同一精液内のDNA切断陽性、陰性精子を分別した。これらの性状をSCPFGEを用いて確認した。さらにDNA切断陰性標準品に対し、希薄NaOH、アスコルビン酸/Cuヒドロキシラジカル産生系を用いてDNA fiberにnickを作成し、感度設定標準を設定した。これらの利用により、従来のcomet法、アクリジンオレンジ法は感度が不足であり、臨床検査として不適であることが示された。上述した陽性、陰性標準品の性状を比較した結果、両者はDNAの状態とともに、先体局在、種々の坑精子抗体に対する抗原性、ミトコンドリア酸化還元能等 多項目で差が見られ、多くの異常は一般的な明視野顕微鏡では検知できなかった。この知見は、従来の明視野顕微鏡下に大まかな頭部形態と運動性を指標とするICSIにおける精子選択の基準は、合理性を欠くものであることが示唆された。上述した基礎的知見を踏まえ、前医にてICSIを施行せるも妊娠しなかったカップルの夫精子を多項目精子精密検査を行った。項目として、頭部外周形状、空胞、先体局在、DNA断片化、ミトコンドリア酸化還元能を観察した。その結果、頭部外周形状が不良で従来の検査で異常が確認できる症例よりも、むしろ頭部外周形状が正常で運動性を有する精子であるが、内部構造の機能異常を認める者が反復施行回数が多い傾向を認めた。今後、観察例数を増やして、この傾向を確認する必要がある。
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産科と婦人科
巻: 85 ページ: 322-327
ARIPEX - INDIAN JOURNAL OF RESEARCH
巻: 7 ページ: 514-516