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2017 年度 実施状況報告書

脳発生(大脳6層構造)から見た胎児・新生児脳障害の病態解析へのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 15K10695
研究機関川崎医科大学

研究代表者

下屋 浩一郎  川崎医科大学, 医学部, 教授 (40291950)

研究分担者 潮田 至央  川崎医科大学, 医学部, 講師 (40454821) [辞退]
村田 卓也  川崎医科大学, 医学部, 講師 (20714207)
冨松 拓治  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30346209)
中井 祐一郎  川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50271193)
中村 隆文  川崎医科大学, 医学部, 教授 (20303969)
村田 晋  川崎医科大学, 医学部, 講師 (00420521)
石田 剛  川崎医科大学, 医学部, 助教 (90509225)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード新生児脳障害 / 大脳6層構造 / 脳性麻痺 / 早産 / サイトカイン
研究実績の概要

周産期医療の進歩により母子の予後は飛躍的に改善されているものの依然として新生児の脳障害は大きな課題である。母体のストレスが発達障害などのリスクとなり、胎児・新生児の感情表現が制限されることも報告されている。本研究では脳の微細な変化も含めて脳障害を理解するため、脳の発生・発達も含めた包括的解析を行った。臨床検体を用いた検討で母体のストレス指標を質問票およびストレスマーカー測定によって評価したところに母体の産褥行動変化との間に相関が認められた。しかしながら、児の予後との間には相関を認めなかった。さらに早産および前期破水において炎症性サイトカイン(フラクタルカイン、6Ckine)の有意な上昇が認められていたが、新生児の予後ならびに脳障害との関連は認められなかった。基礎的検討として、脳皮質6層構造は哺乳類に特徴的な構造で、胎生期の神経上皮での神経前駆細胞(NPC)からの神経細胞への増殖・分化によって構築される。NPCからの細胞運命の決定には細胞分裂を停止して分化を開始させるシグナルが関与する。周産期医療において最も脳障害発症に関与する早産に着目して妊娠マウスにおける早産モデルマウス(LPS腹腔内投与、LPS羊水腔内投与、LPS腟内投与)の構築を図り、形質性アストロサイトのマーカーとしてS100β,繊維性アストロサイトのマーカーとしてGFAP,オリゴデンドロサイトのマーカーとしてOlig2,O4,ニューロンのマーカーとしてNeuN、核は DAPIにて染色する。染色後の観察に蛍光顕微鏡(Olympus, BX61, Japan)と,共焦点レーザー顕微鏡にて検討し、マウス大脳障害の変化を解析し、大脳6層構造の乱れを認めたが、早産モデルマウスの安定的構築に難渋し、変化に関与するシグナルの同定には至らなかった。また、本年度中のマウス大脳からのNPC樹立には至らなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

妊娠マウスにおける早産モデルマウス(LPS腹腔内投与、LPS羊水腔内投与、LPS腟内投与)の構築において早産を引き起こすLPS投与量が安定せず、LPSのロット間の差異も認められるため、モデルマウス構築に難渋したが、昨年度の最終段階で投与量を決定することができた。また、NPCの確立に関しても細胞抽出に難渋し、組織からの単離細胞樹立系の確立と表面マーカーの解析による細胞同定を行う予定としている。そのため早産モデルマウス構築を行っている施設の研究者との情報交換を学会等において密に行い、モデルマウス構築および細胞樹立に努めている。本年度は、既に保存した早産モデルマウスより出生した新生児の脳組織を用いて、NPCの動態に関与する遺伝子発現の変化に関する検討の準備体制を整備している。

今後の研究の推進方策

昨年度に樹立した妊娠早産モデルマウスを用いて新生児の大脳におけるNPCからの神経細胞への増殖・分化に関与するシグナルについて網羅的遺伝子解析を用いて明らかとし、その抑制因子および遺伝子導入によって大脳6層構造の変化について解析する。また、胎児低酸素虚血性脳症のモデルであるLevineモデルを確立させて同モデルにおける大脳皮質構造の変化について解析を行う。さらにマウス胎児脳組織からNPC単離し、その培養系に上記検討において変化が見いだされた因子及び阻害因子の添加培養系を確立させ、NPCからの神経細胞、アストロサイトへの分化へ及ぼす影響についての解析を行う。また、炎症性サイトカイン(フラクタルカイン、6Ckine)に関して詰めの検討を行って補足的検討を行って論文作成を目指す予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究期間を当初の3年間から1年間延長を行って基礎的検討を充実させることを目的として次年度使用額が生じている。研究遂行にあたって残余の研究費の他に研究代表者の有する学内費用と合わせて研究を遂行する予定としている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Unresponsiveness to oxytocin due to an extremely thin uterine wall in a pregnant woman with systemic lupus erythematosus and Sjögren's syndrome.2018

    • 著者名/発表者名
      Tomimatsu T, Hazama Y, Takeuchi M, Kimura T, Shimoya K.
    • 雑誌名

      Unresponsiveness to oxytocin due to an extremely thin uterine wall in a pregnant woman with systemic lupus erythematosus and Sjögren's syndrome.

      巻: Feb;38(2) ページ: 276-278

    • DOI

      10.1080/01443615.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vasohibin-1 Is a Poor Prognostic Factor of Ovarian Carcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Sano R, Kanomata N, Suzuki S, Shimoya K, Sato Y, Moriya T, Shiota M.
    • 雑誌名

      Tohoku J Exp Med.

      巻: Oct;243(2) ページ: 107-114

    • DOI

      10.1620/tjem.243.107.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Analysis of Cell Cycle-related Proteins in Ovarian Clear Cell Carcinoma Versus High-grade Serous Carcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Hazama Y, Moriya T, Sugihara M, Sano R, Shiota M, Nakamura T, Shimoya K.
    • 雑誌名

      Int J Gynecol Pathol.

      巻: Oct 10 ページ: in press

    • DOI

      10.1097/PGP.0000000000000461.

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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