• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

脂肪細胞のエストロゲン依存性レドックス制御に対するmiRNA-222の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K10700
研究機関山形大学

研究代表者

高橋 一広  山形大学, 医学部, 准教授 (20292427)

研究分担者 山谷 日鶴  山形大学, 医学部, 医員 (40550637)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード閉経 / 内臓脂肪 / 酸化ストレス / エストロゲン
研究実績の概要

肥満とは過剰な脂肪蓄積を意味し、脂肪細胞は肥大する。脂肪細胞の肥大に伴って脂肪組織では活性酸素種(ROS)の産生が亢進し、このROSがアディポネクチンの産生を抑制しインスリン抵抗性を惹起することが知られている。肥満女性を対象にした研究では、閉経後の内臓脂肪細胞サイズは、BMIが同等の有経女性と比較して有意に大きいと報告されている。今回我々は、正常な体格の女性の内臓脂肪細胞サイズを有経群と閉経群で比較することで、閉経が脂肪細胞のサイズに及ぼす影響について検討した。さらに閉経後の脂肪組織において酸化ストレスが亢進しているかについても検討した。大網切除術を施行された婦人科腫瘍患者30例(有経群15例、閉経群15例)を対象とした。内臓脂肪細胞の面積は、有経群では1,234±432μm2、閉経群では1,793±576 μm2で、有経群に比較して閉経群で有意に面積が大きかった(p<0.05)。また、閉経群および有経群の内臓脂肪組織中過酸化脂質量は、それぞれ99.6、63.7 nmol/mg proteinであり、閉経女性における内臓脂肪の酸化ストレスが有経群に比較して有意に亢進していることが明らかになった(p<0.05)。
次に、脂肪細胞に分化させたマウス線維芽細胞3T3-L1にH2O2を投与し、これにより誘導される内因性のROS産生に対するエストラジオール(E2)の影響を調べた。その結果、E2は濃度依存性にH2O2により誘導される細胞内ROS量を抑制することが明らかになった(p<0.01)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

女性は閉経すると、肥満にならなくとも内臓脂肪細胞の肥大化と、さらに酸化ストレスが亢進することが明らかになった。さらに培養細胞を用いた研究により、エストロゲンは脂肪細胞において抗酸化作用を示すことも明らかになった。以上から脂肪細胞における酸化ストレス亢進にエストロゲンの関与が示されたので、今後エストロゲンの抗酸化メカニズムの研究をすすめる基礎データの集積できた。

今後の研究の推進方策

脂肪細胞に分化させたマウス線維芽細胞3T3-L1の培養液中にE2を添加培養する。E2処理後にRNA抽出し、real-time PCR法を用いて、抗酸化酵素であるSOD:superoxide dismutase、GPx:glutathione peroxidase、HO-1:heme oxygenase-1、NQO-1:quinine oxydoreductase-1、GCL:glutamate-cysteine ligaseの各mRNA発現量を測定し、エストロゲンの抗酸化作用に関与する酵素遺伝子を明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

十分なヒト検体を集めるまで予想外に時間を要した。ヒトの研究結果を元に細胞実験を始める計画であったので、今年度は予算を使い切れなかった。

次年度使用額の使用計画

既にヒト検体を用いた研究は終えているので、培養脂肪細胞を用いて、E2の抗酸化作用機序解明研究をすすめる。今後の研究は概ね予想通り進むと考えている。

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi