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2016 年度 実施状況報告書

脂肪細胞のエストロゲン依存性レドックス制御に対するmiRNA-222の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K10700
研究機関山形大学

研究代表者

高橋 一広  山形大学, 医学部, 准教授 (20292427)

研究分担者 山谷 日鶴  山形大学, 医学部, 助教 (40550637)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード閉経 / 内臓脂肪 / 酸化ストレス / エストロゲン
研究実績の概要

メタボリック症候群の基盤病態のひとつとされる内臓脂肪型肥満では、脂肪細胞の肥大化と脂肪組織中の酸化ストレスの亢進が認められる。内臓脂肪組織における活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)産生亢進は、アディポネクチン産生を抑制し、メタボリック症候群発症の原因のひとつと考えられている。
今回我々は、培養脂肪細胞を用いてエストラジオール(E2)の抗酸化作用とその機序について検討した。脂肪細胞に分化させたマウス線維芽細胞3T3-L1の培養液中にエストラジオール(E2)を添加後、酸化ストレスとしてH2O2を加えた。H2O2処理後4時間後にRNA抽出し、real-time PCR法を用いて、抗酸化酵素であるSOD:superoxide dismutase、GPx:glutathione peroxidase: GPx、HO-1:heme oxygenase、NQO-1:quinine oxidoreductase-1、GCL:glutamate-cysteine ligaseの各mRNA発現量を測定した。
SOD1、SOD2、GpxはE2添加によってもmRNA発現量の増加は認められないが、HO-1、NQO-1およびGCLでは有意に発現量が増加した(p<0.01)。
培養脂肪細胞において、E2により抗酸化酵素遺伝群のHO-1、NQO-1、GCLの発現が亢進することが明らかになった。これらは転写因子である Nrf2 (nuclear factor erythroid 2-related factor 2)により活性化される遺伝子群であり、脂肪細胞におけるE2の抗酸化作用にNrf2酸化ストレス応答系が関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス線維芽細胞3T3-L1を脂肪細胞に分化誘導するまでやや時間がかかったが、培養系が確立してからは安定して脂肪細胞を準備できた。そのため、3T3-L1をH2O2で処理した後に行ったSOD、GPx、HO-1、NQO-1、GCLの各mRNA発現量の測定は予定通りに行うことが出来た。今回の研究で培養脂肪細胞において、E2により抗酸化酵素遺伝群のHO-1、NQO-1、GCLの発現が亢進することが明らかになった。

今後の研究の推進方策

エストロゲンの抗酸化作用はestrogen receptorを介した作用か、またG protein-coupled estrogen receptor 1を介した作用なのかを明らかにしたい。また最終的にmiRNA-222がエストロゲンの脂肪細胞における抗酸化作用にどのような影響を及ぼすか明らかにする。もし、miR-222がエストロゲン依存性のレドックス制御に強く関わらないことが示唆された場合はmicro RNAの網羅的解析を行い、新規の因子を解析することを予定している。

次年度使用額が生じた理由

マウス線維芽細胞3T3-L1を脂肪細胞に分化誘導するまでにやや時間がかかったが、培養系が確立してからは安定して効率よく脂肪細胞を準備できたため、その後のreal-time PCR実験が予定より時間がかからず行うことが出来たため残額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は 3T3-L1細胞へmiR-222に対するアンチセンス鎖を導入する実験に用いる。つまり、miRNA-222の発現を抑制した状態でE2がROS産生にどのような影響をもたらすかを調べる研究に使用する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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