研究課題
1) 子宮体癌は、肥満・インスリン抵抗性がリスクとなり、糖尿病の合併も多い。このインスリン抵抗性の獲得に、Phosphatase 2A (PP2A)(セリン・スレオニン脱リン酸化酵素)の活性化が関与していると報告されている。また、Okadaic acidや内因性のPP2A抑制因子により癌の増殖が亢進するとの報告から、PP2Aは癌抑制因子と考えられている。しかし、癌腫によってはPP2Aの抑制により、癌の増殖が抑制され、治療のターゲットとしての報告もある。これまで、子宮体癌患者に対するメトホルミン投与で、癌の増殖が抑制され、その抑制効果はインスリン抵抗性の改善による間接効果と考えてきた。そこで、メトホルミン投与時のPP2Aの関与を検討したところ、投与前後でPP2AmRNAの発現が減弱し、免疫染色でも活性の低下が確認された。siRNAでPPP2R4を抑制したところ、子宮体癌細胞株の増殖活性の低下、アポトーシスの増加が確認された。In vitroではメトホルミン投与でPP2Aの発現に変化はなく、この効果は直接的なものではなく、メトホルミン投与時の間接効果と考えられる。2) PP2A抑制剤であるLB100で子宮体癌培養細胞株の増殖抑制効果が確認された。メトホルミンとLB100の併用で、細胞増殖抑制効果が増強した。PPP2R4の抑制ではERKやS6の低下は認めず、メトホルミンによる細胞増殖抑制効果と別の機序が働くものと推測している。3)肥満・インスリン抵抗性など、子宮体癌リスクを有する女性に対し、同意のもとメトホルミンを投与して、投与前後の増殖活性変化を検討した。10例の登録症例ではERKの活性化は著明でなく、短期間のメトホルミン投与で変化は確認できなかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
PLoS One
巻: 13 ページ: e0192759
doi: 10.1371/journal.pone.0192759. eCollection 2018.
Support Care Cancer
巻: 25 ページ: 1495-1501
doi: 10.1007/s00520-016-3554-y. Epub 2016 Dec 27.
Ongogene
巻: 36 ページ: 2345-2354
doi: 10.1038/onc.2016.391. Epub 2016 Oct 24.