研究課題
本研究は、侵入奇胎の腫瘍マーカーとして有用性のある血清miRNA(miRNAプロファイル)を同定することを目的とする。また同時に、侵入奇胎の発症機序の解明に近づくことを目指す。侵入奇胎は、主に雄核発生奇胎後に発症する。転移する場所が、子宮筋層・肺に限られること、hCGを産生すること、主に子宮内容除去術終了後2~8週間の間に発症することなど、均一した性質を有する。本研究の最大のコンセプトは、侵入奇胎発症時の奇胎組織の特徴を捕まえることにある。このため、従来から進めてきた子宮内容組織(胞状奇胎組織)の直接の解析ではなく、侵入奇胎成立時の、血清miRNAを研究対象とした。前年度に、血清miRNAが抽出されていること、胞状奇胎の子宮内容除去術前患者血清からは、has-miR-520bおよびhas-517a-3p(胞状奇胎組織で高発現していることがすでに報告されているmiRNA)が発現していることを検証した。本年度は、侵入奇胎患者4例の治療前血清からセルフリーmiRNAでhas-miR-520bおよびhas-517a-3pの発現を検討した。発現が確認された症例は、1症例だけであった。4症例は、侵入奇胎診断時のhCG値が500~1500 mIU/mlであり、比較的病巣が小さい症例であったことが原因として推察された。胞状奇胎の治療前血清での解析では、has-miR-520bおよびhas-517a-3pは血清セルフリーmiRNA中でほぼ全例で検出されていた。侵入奇胎症例を確実にリクルートし、検討を進めてゆく。
3: やや遅れている
本年度は、侵入奇胎症例が、例年に比べて少なかった。侵入奇胎症例においても、病巣の大きくない症例が多かった。
1)侵入奇胎症例を、確実にリクルートし、アレイ解析を行う。2)胞状奇胎症例についても、検討に組み入れる。胞状奇胎症例における、has-miR-520bおよびhas-517a-3pの推移について調査する。
残額が少額であり、適切な購入物品がなかったため。
平成29年度予算として、消耗品の購入に充てる。
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