研究課題
本研究に同意が得られた卵巣原発類内膜癌39症例について、腫瘍組織及び正常組織からDNAを採取し、ターゲットシークエンスを行い、卵巣原発類内膜癌の遺伝子変異プロファイルを同定した。類内膜癌の診断については、婦人科病理専門医に診断を依頼し、卵巣原発類内膜癌であることを確定した。KRAS遺伝子変異18例(46.2%)、ARID1A遺伝子変異が18例(46.2%)、PIK3CA遺伝子変異が16例(41.0%)、PTEN遺伝子変異13例(33.3%)、TP53遺伝子変異9例(23.1%)であり、上記5つの遺伝子の体細胞変異を持たない症例はわずか2症例(5.1%)のみであった。TCGAに登録されている子宮体癌の遺伝子変異プロファイルを再解析した結果、子宮体部原発類内膜癌ではKRAS遺伝子変異91例(22.8%)、ARID1A遺伝子変異が210例(52.6%)、PIK3CA遺伝子変異が202例(50.6%)、PTEN遺伝子変異310例(77.7%)、TP53遺伝子変異83例(23.8%)であり、上記5つの癌関連遺伝子の変異プロファイルは、卵巣原発と子宮原発で違うことが明らかになった。卵巣原発類内膜癌は子宮内膜症との関連が知られており、子宮内膜症上皮でKRAS遺伝子変異を高頻度に認めることから、卵巣原発と子宮体部原発の類内膜癌におけるKRAS遺伝子変異の違いは、卵巣原発類内膜癌の発生起源として子宮内膜症が強く関与していることを示唆する所見であった。
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