研究課題
これまでの研究において、卵巣癌明細胞腺癌に対するGPC3 ペプチドワクチン療法の臨床試験を行い、効果増強に向けて癌微小環境の免疫学的解析が重要であることを確認した。また、腹膜播種に対する臨床効果増強を目的として腹膜播種局所における免疫抑制シグナルをターゲットとした特異的抗原由来ペプチドワクチンおよび分子標的療法併用の研究を行ってきた、これまでの研究において腹膜播種を模倣したin vitro モデルを構築しており、さらにマウスの腹膜播種モデルにおけるPDXモデルの樹立も行ってきた。今回、マウス卵巣癌細胞株ID-8の高播種株と親株のマイクロアレイ解析を行い、IL-33が高播種株で親株の35倍にぺリオスチンが親株の18倍に増加していた。また高播種細胞株の腹水中のIL-33は親株モデルの腹水に比べ有意に上昇していた。また播種組織のwestern blottingにて高播種組織はIL-33の蛋白レベルでの発現が上昇していた。IL-1ファミリーサイトカインの1つであるIL-33は、主に上皮細胞で恒常的に発現しており、細胞核内に局在している。核内の IL-33 は、感染などの際にネクローシスを起した細胞から放出され,炎症の初動を担うalarminとして働く。高播種株のIL-33をshRNAを導入し、ノックダウンすると高播種株の播種形成能は減少するもその差はわずかであった。以上の結果より腫瘍周囲の微小環境の形成にIL-33が機能を有していることが推測された。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Oncol Rep
巻: 39(1) ページ: 193-200
10.3892/or.2017.6104