研究実績の概要 |
【目的】Transformed follicular lymphoma (TFL)は新規がん抑制遺伝子の候補として、濾胞性リンパ腫が悪性転化する際に欠失する染色体部位から発見された。我々はTFLの進行子宮体癌 (FIGO stage IIIA-IV) におけるがん抑制因子としての役割を検討する目的でTFL発現と予後との関係を検討した。【方法】103症例を対象とした。TFL発現は免疫組織学的に評価し、予後解析を単変量解析および多変量解析で検討した。【成績】正常子宮内膜との発現比較、TFL発現は子宮内膜癌で亢進していた。またTFL発現は他の子宮内膜癌予後因子とは相関していなかった。予後解析については、TFL低発現群: 24症例の無再発生存率はTFL高発現群: 79症例に比べて不良であった (10yPFS; 31% vs 64% P=.003; adjusted HR 2.76, 95%CI: 1.45-5.28; P=.002)。全生存率の解析でも同様の結果を得ている。 Estrogen receptor (ERα) 遺伝子 (ESR1) はTFLの染色体部位 (6q25. 1)と近接しており、ERα発現とTFL発現は有意に相関している。予後不良と言われているERα低発現群のみでの検討でもTFLは予後不良因子であることが明らかになり、(adjusted HR 4.70, 95%CI 1.68-13.20; P=.003)。この結果は、これまで予後不良因子として位置付けられていたERαがTFL発現の有無を示していた可能性を示唆している。【結論】TFLは子宮体癌の予後予測マーカーの候補と考えられ、その機能解明が子宮体癌の新規治療戦略に新たな可能性を提供できると考えられる。 Cancer Epidemiol Biomarkers Prev in press.に論文発表を行なっている。
|