研究課題/領域番号 |
15K10718
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
石川 雅子 島根大学, 医学部, 助教 (50467718)
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研究分担者 |
京 哲 島根大学, 医学部, 教授 (50272969)
中山 健太郎 島根大学, 医学部, 講師 (70346401)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | RSF-1 / 子宮肉腫 / 子宮体癌 |
研究実績の概要 |
子宮平滑筋肉腫(Leiomyosarcoma:LMS 以下LMS)は子宮悪性腫瘍の中では比較的稀な疾患である反面、早期発見が難しい上、LMS全進行期の5年生存率は27.1%であり、極めて予後不良である。しかしその分子生物学的特徴はほとんど解明されておらず、今後、治療成績を向上させるためには、分子生物学的特徴を解明し、その特徴にターゲットを絞った創薬が必要と考えられる。申請者らの研究グループは、新規癌遺伝子RSF-1はこれまでの予備実験で肉腫組織でのタンパク質発現が上昇していること発見した。本研究ではRSF-1がLMSの分子標的治療の標的候補となりうるかについて、RSF-1タンパク質発現と臨床病理学的因子との関連の検討を行い、さらに機能解析を進める予定であった。 当初、LMSにおけるRSF-1に焦点を絞り,タンパク質発現、臨床病理学的因子との関連,予後,抗癌剤感受性について検討を進めたが,症例数が少ないため十分な検討を行うことが出来なかった。そこでLMSだけでなくその他の子宮悪性腫瘍(子宮体癌Endometrial cancer ; EC、子宮癌肉腫; Endometrial caricnosarcoma)に着目し研究を進めた。 これまで子宮体癌もRSF-1タンパク質発現の頻度は高いことが報告されているが、予後も含めた臨床病理学的検討はこれまでない。これがLMS, ECの予後不良に関与するか調べるため臨床病理学的因子との相関について検討し,その後細胞株を用い機能解析を行った。 子宮体癌ではRSF-1タンパク質発現は90%(54/60)に見られた。RSF-1タンパク質発現と臨床病理学的因子の検討では様々な因子(進行期、筋層浸潤、リンパ節転移の有無など)で有意差は認めなかった。またRSF-1タンパク質発現陽性群で、予後に差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LMSにおいて研究を進める予定だったが、症例数が少なく解析できなかったため、そのたの子宮悪性腫瘍全般について検討することとした。子宮体癌におけるRSF-1タンパク質発現の頻度、臨床病理学的因子との関連、予後、抗癌剤感受性について検討したところ、RSF-1タンパク質発現消失は無増悪生存率、また全生存率の間に有意な相関は認めなかった。癌遺伝子RSF-1の発現は子宮体癌の早期再発、抗癌剤耐性に関連し、有力なバイオマーカーとなり得ると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
子宮腫瘍における新規癌遺伝子RSF-1の機能解析および、その臨床応用へと展開していくため、本研究では以下の研究項目を予定している。 1. RSF-1遺伝子導入における抗癌剤感受性の検討 2. RSF-1遺伝子ノックアウトにおける抗癌剤感受性の検討 3. RSF-1の制御する遺伝子群、パスウェイの解析 1. RSF-1遺伝子導入における抗癌剤感受性の検討:RSF-1が遺伝子変異している卵巣明細胞腺癌株にWild typeのRSF-1をレンチウイルスを用いて遺伝子導入し安定遺伝子導入細胞を樹立する。その後、コントロールベクター導入細胞と比較し、抗がん剤に対する感受性が上昇するか検討する。2. RSF-1遺伝子ノックアウトにおける抗癌剤感受性の検討:逆にRSF-1がWild typeの卵巣明細胞腺癌株においてAdeno-associated virus vector(AAV)を用いてホモロガスリコンビネーションを生じさせ、RSF-1の遺伝子ノックアウト細胞を樹立する。コントロールのAAV導入細胞と比較し、抗癌剤感受性(抗癌剤耐性誘導)が変化するか検討する。siRNA、shRNAで遺伝子ノックダウンした場合はRSF-1の完全な機能喪失には至らないため、本研究では遺伝子ノックアウト法を用いることにした。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加を行わず、国内学会のみの参加であり、予定していた旅費は使用しなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
子宮腫瘍におけるRSF-1の機能解析について以下の実験に使用予定である。① RSF-1遺伝子導入における抗癌剤感受性の検討:RSF-1が遺伝子変異している卵巣明細胞腺癌株にWild typeのRSF-1をレンチウイルスを用いて遺伝子導入し安定遺伝子導入細胞を樹立する。その後、コントロールベクター導入細胞と比較し、抗がん剤に対する感受性が上昇するか検討する。② RSF-1遺伝子ノックアウトにおける抗癌剤感受性の検討:逆にRSF-1がWild typeの卵巣明細胞腺癌株においてAdeno-associated virus vector(AAV)を用いてホモロガスリコンビネーションを生じさせ、RSF-1の遺伝子ノックアウト細胞を樹立する。コントロールのAAV導入細胞と比較し、抗癌剤感受性(抗癌剤耐性誘導)が変化するか検討する。siRNA、shRNAで遺伝子ノックダウンした場合はRSF-1の完全な機能喪失には至らないため、本研究では遺伝子ノックアウト法を用いることにした。
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