研究課題
本年度は①エストロゲン関連受容体を介した細胞増殖制御機構、②マウスモデルを用いたエストロゲン関連受容体標的とした治療の有用性、③リガンド候補化合物による抗腫瘍効果について検討した。①では、エストロゲン受容体をsiRNAを用いて発現抑制すると細胞周期G2/M期停止、ヒストンH3リン酸化蛋白上昇を経て、カスパーゼ-3依存性アポトーシスを誘導することがわかった。同様にG2/M期を惹起しアポトーシスを誘導する抗がん剤であるパクリタキセルの感受性を上昇させることが明らかになった。シスプラチンやその他の薬剤への影響が認めなかった。その機序については現在検討中である。②では、siRNAを用いて発現抑制子宮体癌細胞株をマウスに皮下移植しコントロール群と比較することで抗腫瘍効果を検証したところ、エストロゲン関連受容体抑制下では有意な腫瘍形成抑制効果を示した。また組織標本を用いた免疫組織学的検討では、in vitroでの結果と同様に血管新生能やアポトーシスに関与することが示唆された。③では、リガンド候補化合物を用いてエストロゲン関連受容体を介したルシフェラーゼ転写活性実験を行った。エストロゲン関連受容体の転写活性抑制能を示した化合物を添加したところ、子宮体癌細胞の増殖は抑制され、細胞周期停止を生じさせることが明らかになった。現在分子生物学的機序を検討している。以上より、子宮体癌においてエストロゲン関連受容体を介した系は有望である。
2: おおむね順調に進展している
研究成果の一部は学会発表や論文投稿を行っており、当初の計画通り進んでいる。
エストロゲン関連受容体が関与する増殖制御機構についてより詳細に検討する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
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