研究課題
平成28年度も引き続き、①エストロゲン関連受容体を介した細胞増殖制御機構、②マウスモデルを用いたエストロゲン関連受容体標的とした治療の有用性、③リガンド候補化合物による抗腫瘍効果について検討した。①では、エストロゲン受容体をsiRNAを用いて発現抑制すると細胞周期G2/M期停止、ヒストンH3リン酸化蛋白上昇を経て、カスパーゼ-3依存性アポトーシスを誘導することがわかった。同様にG2/M期を惹起しアポトーシスを誘導する抗がん剤であるパクリタキセルの感受性を上昇させることが明らかになった。シスプラチンやその他の薬剤への影響が認めなかった。その機序については現在検討中である。②では、siRNAを用いて発現抑制子宮体癌細胞株をマウスに皮下移植しコントロール群と比較することで抗腫瘍効果を検証したところ、エストロゲン関連受容体抑制下では有意な腫瘍形成抑制効果を示した。また組織標本を用いた免疫組織学的検討では、in vitroでの結果と同様に血管新生能やアポトーシスに関与することが示唆された。①および②についての結果は論文にまとめ、Oncotarget誌にアクセプトされた。また諸学会においても結果を公表している。現在は③についての研究を進めており、あるリガンド候補化合物Xがエストロゲン関連受容体を介したエストロゲン伝達経路を阻害することを見出しており、この系を介した治療法およびその機構について検討している。
2: おおむね順調に進展している
研究成果の一部は学会発表や論文投稿を行っており、当初の計画通り進んでいる。
引き続き、分子生物学的機序について検討していく。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件)
Oncotarget
巻: 7 ページ: 34131-34148
doi: 10.18632/oncotarget.9151
Int J Gynaecol Obstet
巻: 135 ページ: 135-139
doi: 10.1016/j.ijgo.2016.05.004.
Case Rep Obstet Gynecol
巻: 2016 ページ: 1712404
doi: 10.1155/2016/1712404.
J Obstet Gynaecol Res
巻: 43 ページ: 157-163
doi: 10.1111/jog.13153.
J Obstet Gynaecol Res.
巻: 42 ページ: 1604-1608
doi: 10.1111/jog.13079