研究課題
子宮体癌の腫瘍学的特徴で最も重要な点はホルモン依存性であり、その増殖や発癌にエストロゲンが深く関与する。しかしながら、乳癌ではエストロゲン受容体拮抗剤やエストロゲン生合成酵素(アロマターゼ)阻害剤が著効し広く用いられるのに対し、子宮体癌に対する有効性はいまだ確立されておらず、より複雑なエストロゲン伝達機構が示唆される。リガンド未知のオーファン核内受容体として発見されたエストロゲン関連受容体(ERR)はERと非常に類似した構造を有するが、その作用はいまだ十分に明らかにされていない。研究代表者らはこれまでにホルモン依存性子宮関連疾患におけるERRaの病態意義について注目し、研究を展開してきた。引き続き本研究期間においては研究代表者らは以下について明らかにした。(1)ERRaは子宮体癌組織あるいは子宮体癌培養細胞株において高発現している、(2)低分化腺癌あるいは漿液性癌のような悪性度の高い組織型でその発現は高い、(3) siRNAを用いたERRa knockdownはERRa高発現子宮体癌細胞株(HEC-1A, KLE)における細胞増殖を抑制する、(3)ERRaは子宮体癌におけるVEGFの発現や転写活性を制御する、(4)ERRaはカスパーゼ-3依存性アポトーシスを誘導する(5)ERRa knockdown によりG2/M期停止を引き起こす、(6) ERRaはパクリタキセルの感受性に関与する、(7)マウスモデルにおいてERRa siRNA導入による抗腫瘍効果を示す。上記得られた結果をもとにERRaのリガンド候補を探索し、ERRaをターゲットとした治療法の確立を目指している。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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