研究課題/領域番号 |
15K10728
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
片岡 史夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40306824)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | EMT / 子宮体部癌肉腫 / 分子標的 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、子宮体癌の新しいバイオマーカーとなる新規EMT関連遺伝子の同定に関する検討を行った。 1)新規EMT関連遺伝子の候補の抽出は、①網羅的発現解析によりEMT 誘導転写因子群を抽出、②癌肉腫と体癌を比較して癌肉腫に高発現している遺伝子を抽出することにより行った。 子宮体部癌肉腫、子宮体癌および子宮肉腫を対象に網羅的発現解析を実施した。その結果、癌肉腫は子宮体癌(類内膜腺癌)よりも肉腫と類似性を認めた。また39のEMT関連遺伝子群でクラスタリングを行ったところ、癌肉腫における発現パターンは子宮体癌とは全く異なっていた。更にレーザーマイクロダイセクションを用い、癌肉腫の癌部および肉腫部でEMT関連遺伝子群の発現を比較したところ、肉腫部でZeb、 Twist、SnailなどのEMT誘導転写因子およびそのパスウェイに関与する遺伝子群の高発現を確認した。 2)抽出した遺伝子の機能解析については、癌肉腫細胞株、我々が樹立した体癌高転移株および既知の体癌細胞株を使用し、増殖能、浸潤能への関与を、今後検討していく予定である。 3)抽出した遺伝子が予後及び再発のバイオマーカーとなるかの検討においては、癌肉腫および子宮体癌の臨床検体を用いて、リン酸化SMAD2/3の免疫組織化学染色を行いTGF-βシグナル伝達を評価した。癌肉腫の癌部においては、子宮体癌と比較してリン酸化SMAD2/ 3が有意に高発現を示すことが示された。今後、リン酸化SMAD2/ 3の発現と予後について多数例において検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、網羅的発現解析による新規EMT関連遺伝子候補の抽出に時間を要したため、全体の進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に予定していた細胞株を用いた機能解析による新規EMT関連遺伝子の同定に関する検討を推進する。その後、平成28~29年度に予定されている、化合物アレイを用いた新規分子標的薬候補の抽出を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に計画していた、細胞株を用いた機能解析による新規EMT関連遺伝子の同定に関する検討に着手できなかったため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞株を用いた機能解析による新規EMT関連遺伝子の同定に関する検討を平成28年度に行う研究計画とあわせて実施予定である。これに関する費用として、平成28年度は、細胞培養関連費用 約30万円、PCR関連費用 40万円、マウス購入・管理費用 約20万円を見込んでいる。
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