研究課題/領域番号 |
15K10729
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩田 卓 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30296652)
|
研究分担者 |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20199334)
川井田 みほ 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30767025)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 子宮頸癌 / HPV陰性腺癌 |
研究実績の概要 |
当院で2012-14年に診断した頸部腺癌の68症例を対象としPGMY-line blot法によりHPVの検出を行った。HPV陰性例について、HPV16型および18型のE6遺伝子をPCR法で検出し、陰性であることを確認した。HPV陰性例について、発症年齢、組織型、進行期など臨床病理学的因子、およびP53タンパクの発現を検討した。 【結果】頸部腺癌68例のうちHPV陰性例は20例で29.4%を占めた。HPV陰性例の年齢中央値は53歳で、陽性例の42歳に比べ高かった(p=0.005)。各組織型でHPV陰性例が占める割合は、内頸部型で16.4%(9/55)、類内膜で75.0%(6/8)、漿液性(1/1)および胃型腺癌(4/4)で100%であり、非内頸部型で有意に高頻度であった(P<0.001)。HPV陰性例の臨床進行期分類はI期13例、II期以上が7例で、II期以上の進行例の割合(35%)はHPV陽性例(18.6%)に比べ高かった(P=0.0065)。P53タンパク陽性率は40%(8/20)で、組織型別では類内膜が83%(5/6)と、内頸部型の22%(2/9)、胃型の0%(0/4)に比べ高かった。さらにP53陽性の類内膜腺癌6例についてP53の遺伝子変異を検討したところ、5例で変異が検出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
HPV陰性子宮頸部腺癌20例を解析し、P53が高発現していることを明らかとしただけでなく、その多くで遺伝子変異が生じていることを示すことができた。すべて、新規の知見であり、HPV陰性腺癌の発生の解明に役立つと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、さらに症例数を増やして検討する。また、Gene-Chip解析を行い、より詳細にHPV陰性腺癌の分子学的特徴をあきらかとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初のマイルストーンは達成できており、効率的な研究を実施した結果である。
|
次年度使用額の使用計画 |
また、P53以外の腫瘍関連分子について、免疫染色による検討を行う。さらにGene-Chipを用いた遺伝子解析を実施する。この費用に昨年度余剰分を充当する。
|