免疫抑制作用のあるIL-6やIL-8を高産生する卵巣明細胞腺がん(OCCC)の免疫環境の解析とその制御法の開発を行った。OCCC組織中の浸潤T細胞数は、卵巣漿液性腺がんを含む他のがん種より低値であった。次に、薬剤ライブラリーから、IL6産生を阻害する薬剤12種を同定した。その中の一つは、OCCC特異的転写因子でIL-6の産生に関与するHNF-1βの発現をエピジェネティックな機構で抑制した。この薬剤はOCCC移植担癌マウスで、血中のヒトIL6を低下させ、樹状細胞の機能を回復させた。以上より、この薬剤でOCCC患者の免疫抑制を解除でき、既存の免疫療法の効果を増強できる可能性が示唆された。
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