研究課題
子宮類内膜腺癌(endometrial endometrioid carcinoma; EEC)は婦人科癌では最も多い。同じ分化度のEECの中でも、異なるゲノム異常蓄積過程と悪性度を有することが知られており、病理組織像で予後良好と予想される症例の中、2割以上の症例は急激な進展を示すことが報告されていた。EECの悪性度の評価及び予後予測に有用なバイオマーカーの確立が切望されている。我々は網羅的な蛋白質解析および免疫組織化学法により、EECの悪性度評価及び予後予測に有用なバイオマーカーについて検討した。EEC組織(G1~G3)のホルマリン固定、パラフィン包埋組織を用いて、LC/MS/MS法(Liquid Chromatography - tandem Mass Spectrometry)プロテオーム解析から網羅的に蛋白質解析を行った。組織学的に予後良好とされている高分化(G1)EECと予後不良とされている低分化(G3)EECにおける蛋白質発現プロフィールの違いを注目した。G1とG3に特異的に高発現を示す蛋白はそれぞれ39種類および56種類が見られ、G3に高発現を示した蛋白質の中、癌細胞の増殖や進展に関与するFilamin-Aを注目し、手術材料の組織検体および Tissue microarrayを用い、蛋白質の発現についてさらに確認した。Filamin-A高発現群と低発現群における患者臨床および病理学因子を比較した結果、G3 EECにおいて明らかなFilamin-Aの過剰発現を認めた(p<0.05)。また、癌の再発およびリンパ管侵襲を示す症例において、Filamin-Aの高発現傾向が確認できた。Filamin-Aは、EECの脱分化や癌の進展、予後に関与する可能性が推測でき、ECCの予後予測マーカーとして有用であることが示唆された。
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Int J Oncol.
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doi: 10.3892/ijo.2019.4710.
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 501 ページ: 668~673
doi: 10.1016/j.bbrc.2018.05.041