研究課題/領域番号 |
15K10744
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 弥生 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (00452350)
|
研究分担者 |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555865)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 耳科学 / 細胞生物学 / 解剖学 / 内耳 / 有毛細胞 / 難聴 / 抗加齢医学 |
研究実績の概要 |
本研究は、蝸牛感覚上皮細胞内のミトコンドリアおよび蝸牛聴覚神経系のin situ直接イメージング法を確立し、詳細な解剖学的分布地図を作製、これをもとに感音難聴の本態解明・新たな治療法の開発につなげるための研究基盤を確立することが目的である。 具体的に本研究期間内に計画している研究項目は次のものである。①ミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウス(mtGFP-Tg)を用いた、蝸牛における細胞内ミトコンドリア分布の高解像度3次元解析・経時的観察 ②神経細胞マルチカラー蛍光発色マウスを用いた蝸牛神経繊維の詳細なマッピング ③ ①②を応用し、耳毒性薬剤投与後など難聴モデル動物でのミトコンドリア分布・神経支配の解明、障害からの回復過程における再分布の解析、さらに種々の抗酸化剤・神経保護薬剤投与による予防・治療効果を測定し作用機序を解明 本年度は、種々の抗酸化剤・神経保護薬剤投与による予防・治療効果を測定し作用機序を解明を行った。 正常マウスの蝸牛を体外培養し、ゲンタマイシンによる内耳有毛細胞障害を惹起した。それに細胞保護剤(糖尿病治療薬)であるメトフォルミンを投与したところ、ゲンタマイシンによる内耳障害を有意に予防することができた。また、ゲンタマイシン障害細胞ではCaspase-9の染色陽性が認められ、アポトーシス経路の活性化が起きていることが判明した。 現在メトフォルミンによるアポトーシス経路への影響について、実験を追加し解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症の発生により東京大学病院の動物実験施設が7ヶ月間にわたり全面閉鎖となり、ミトコンドリアGFP-トランスジェニックマウス(mtGFP-Tg)の飼育が不可能になったため。
|
今後の研究の推進方策 |
メトフォルミンによる内耳障害防止作用、特にアポトーシス経路への影響および抗酸化作用について、実験を追加し解析を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在実験を行っている臨床研究棟の動物実験施設が、感染症発生のため2017年9月以降に全殺処分とな り稼働しておらず、動物実験が不可能になったため。2018年度再オープン後に動物実験を再開する。
|