研究課題/領域番号 |
15K10746
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
遠藤 周一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20324204)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 超磁歪素子 / 骨伝導デバイス / 安全性 / 有効性 / 各周波数帯域出力測定 |
研究実績の概要 |
超磁歪素子を用いた補聴器用骨伝導デバイスの実用化に向けて安全性及び有効性の検証を行ってきた。 安全性の検証は、現在実際に骨導端子として使用されており安全性が確立されている磁気コイル式骨導端子(oticon,BC462)と今回検証を行いたい超磁歪素子を用いた骨導端子(真幸電機)を成人ヒト側頭骨標本に装着し、各周波数帯の出力を測定することで行った。強大音(入力音圧80dBSPL,90dBSPL)に対するパワースペクトルは両者において同等であり、従来型との非劣性をもって安全性を確認した。 有効性の確認は、ヒト側頭骨を糸で固定し、乳突部に骨導端子を装着した。安全性の実験と同様磁気コイル式骨導端子(oticon,BC462)及び超磁歪素子を用いた骨導端子(真幸電機)と重度難聴用ポケット型補聴器(リオン、HA-78P)を装着後、防音室、音場にて側頭骨前方1mに設置したスピーカーから250Hz~8000Hzの各周波数帯域において純音で音刺激を行った。出力の測定は、レーザードップラー振動計(LV-1800、小野測器)を用い、計測点は側頭骨錐体部とした。有効性の確認を行う刺激音は、会話音圧である30-60dBSPLで入力し錐体部での最大出力を計測すると、中音域から高音域における周波数において、従来型の磁気コイル式骨導端子に比べ超磁歪素子を用いた骨導端子の方がパワーベクトルの値が高い傾向が認められた。このことは、子音における語音明瞭度の改善や実際に聞こえる音質の改善が期待できる裏付けとなる基礎データが収集できたと考えている。ただ、統計解析を有意差が出るまでには至っておらず、現在追加実験を行なっており、その結果によっては有意差が出るものと考えている。また、刺激音を現在臨床で語音聴力検査で使用している語音を用いて実験を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有効性の実験において、超磁歪素子を用いた骨導端子の方が従来の骨導端子に比べパワーベクトルの値が高い傾向が認められているが、統計解析では有意差が出るところまではいっておらず、現在追加実験を繰り返しているところである。また、当初予定していた臨床実験までは、本研究では着手できないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在有効性を検証する実験を繰り返し行い、データ収集を行なっているところである。また、刺激音を純音だけではなく、現在臨床で使用している語音聴力検査用の語音を用いてパワーベクトルの測定を行なっており、その結果も追記できるようにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、今年度の予算を臨床実験を行う費用に充てることにしていたが、基礎実験のデータが不十分であり、追加実験及び統計解析に使用する費用に変更したことにより次年度使用額が発生した。 繰越し金については、次年度開催される学会参加費用に充てたいと考えている。
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