研究実績の概要 |
これまで、超磁歪素子を用いた補聴器用骨伝導デバイスの実用化に向けて安全性及び有効性の検証を行ってきた。 安全性の検証については、強大音(入力音圧80dBSPL,90dBSPL)に対するパワースペクトルの比較を行っており、超磁歪素子を用いた骨伝導デバイスと従来用いられている磁気コイル式骨導端子(oticon,BC462)との両者において同等であり、従来型との非劣性をもって安全性を確認した。 有効性の実験において、超磁歪素子を用いた骨導端子の方が従来の骨導端子に比べ、パワーベクトルの値が高い傾向が認められているが、統計解析では有意差が出るところまでは至っていなかったため、1年間延長をして追加実験を行って来た。 刺激音は、会話音圧である30-60dBSPLで入力し錐体部での最大出力を計測すると、中音域から高音域における周波数において、従来型の磁気コイル式骨導端子に比べ超磁歪素子を用いた骨導端子の方がパワーベクトルの値が有意差を持って高いことが確認できた。周波数帯域は主に2000Hzから8000Hzの周波数帯域であった。2000Hzから6000Hzの周波数帯域は、子音の判別に重要な周波数帯域である。このことは、子音における語音明瞭度の改善や実際に聞こえる音質の改善が期待できる裏付けとなる基礎データが収集できたと考えている。 このデータは、あくまで側頭骨モデルを使用した基礎データであり、今後このデータを利用し、臨床応用に向けて治験などで実際の患者のデータを集積する必要があると考えられた。
|