研究課題
先天性感音難聴においては、遺伝子上のひとつの塩基ないしは数塩基の、点変異、欠失や挿入による変異が原因となる。近年、これに加えて、コピー数変化(CNV: copy number variation)といわれる、より大きな規模での遺伝子の重複や欠失が、難聴の原因となることが明らかになりつつある。このCNVを網羅的に、複数の候補遺伝子から検出することは容易ではない。サンガーシクエンスではほぼ不可能、また次世代シークエンサーを用いた場合であっても、解析手法の制限があるため、検出力において確実性に劣る。このため、本年度はaCGH(比較ゲノムハイブリダイゼーション法)を利用したマイクロアレイを新たに設計、デザインし、検討を行った。本マイクロアレイは、現在報告されている難聴遺伝子の情報を網羅している。予備的な遺伝子解析により見出されている、複数の難聴遺伝子におけるCNVに対して、本CGHアレイを用いた検討を行った結果、正確にCNVを確認することができた。Association for Research in Otolaryngology学会(2016年2月San Diego)で学会報告した。Annals of Otology, Rhinology and Laryngology誌に投稿済み(2016年4月)。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定どおり次世代シークエンスのデータを用いてCNV解析を行った
保険診療で行われている先天性難聴の遺伝学的検査と同様の、次世代シークエンサー解析結果から、CNVの検出を行う。本年度、新規に設計したCGHアレイでの解析と組み合わせ、より正確な検出を行う。遺伝子解析を予定するサンプルは500例以上あるため、日本人における頻度を明らかにすることができると予想される。また、難聴遺伝子における、新規のCNVを見出すことも企図している。これにより、難聴の特徴と、CNVの状態、すなわち遺伝子の欠失のサイズや位置などの比較を行うことで、変化の種類と臨床像を推定する基盤情報を構築することができると考えている。
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Clin Genet.
巻: e-pub ページ: in press
doi: 10.1111/cge.12677.