研究課題/領域番号 |
15K10760
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長沼 英明 北里大学, 医学部, 教授 (00198342)
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研究分担者 |
御子柴 克彦 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (30051840)
河原 克雅 北里大学, 医学部, 教授 (70134525)
阪上 洋行 北里大学, 医学部, 教授 (90261528)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | IP3受容体 / Boettcher細胞 / 外らせん溝細胞 / 小胞体ストレス |
研究実績の概要 |
1.内耳蝸牛における、IP3受容体type1の局在: コルチ器内の外・内柱細胞、Deiters細胞、Boettcher細胞、外らせん溝細胞にIP3受容体type1の存在を免疫組織化学的に確認した。特にBoettcher細胞、外らせん溝細胞に強く免疫陽性反応が認められた。 2.Boettcher細胞のIP3受容体type1局在: Boettcher 細胞の側方細胞膜は隣り合う同細胞とmicrovilliとしてinterdigitationを形成しているが、その部位の細胞膜にはIP3受容体type1局在は認められなかった。Boettcher細胞においては、小胞体膜にIP3受容体type1局在を認めた。 3.IP3受容体type1の蝸牛における機能への関与の検討(IP3受容体type1KOマウスにおける聴力障害の検討): 全ての群において、十分な音圧による刺激では、典型的な6波の波形を認めた。heterogenous (+/-), homogenous (-/-) KOマウスは、WT (+/+)に対して、有意に聴力閾値の上昇を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度において、研究がやや遅れている理由は、研究協力者の確保が困難であったこと、またIP3受容体type1KOマウスにおける聴力障害に関する研究で、ABRの測定が予想に反して困難で、得られた結果の信頼性の確認に時間を要したことが影響している。
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今後の研究の推進方策 |
1.IP3R type1 KO マウスの内耳形態の観察・解析(形態学的解析) 1)IP3R type1 KO マウスの管理、作製:理化学研究所、脳科学総合研究センター、発生神経生物研究チームで系統維持されたIP3 type1 KOマウス:KO(+/-)、KO(-/-)マウスの管理・作製。2)WT、同KO(+/-)、同KO(-/-)マウスで内耳形態を解析し比較:抗IP3R type1 モノクローナル抗体(4C11,18A10)を用いて免疫組織化学を行いIP3R type1 の内耳局在を各群で比較する。 2. 内耳に誘導された小胞体ストレスの解析(形態学的解析) WT、同KO(+/-)、同KO(-/-)マウスで、小胞体ストレス誘導剤を用いて小胞体ストレスを内耳に誘導する。小胞体ストレスの誘導は、ツニカマイシン5μg/g BW の量を腹腔内に投与することにより行う。投与3 日後に灌流固定後、側頭骨を採取し蝸牛外側壁の骨をはずし、浸透固定を行う。小胞体ストレスが誘導された内耳組織で、小胞体ストレス関連抗体(抗XBP1ポリクローナル抗体)を用いた免疫組織化学を行い、検出する。ツニカマイシンで小胞体ストレスが誘導されない場合は他の小胞体ストレス誘導剤(タプシガルジンthapsigargin など) を使用する。小胞体ストレスの誘導の程度を前述の3 群で比較する。 3.内耳に誘導された小胞体ストレスによる内耳機能変化の解析(生理学的解析) WT、同KO(+/-)、同KO(-/-)マウスを使用。小胞体ストレス誘導剤(ツニカマイシン5μg/g BW)を投与する前と、投与後3 日間連日でABR にて聴覚閾値を測定する。クリック音刺激トーンバースト刺激8,16,32 KHz で刺激する。聴力の低下の程度を3 群で比較する。形態変化と機能変化を照合する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況の項で述べたように、研究実績が研究予定よりやや遅れていること、またパイロットスタディーなどでは使用物品を当該施設に所有している類似のもので代用し、本研究費をより節約するように努めているため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後の研究進捗状況、随時変更する可能性のある細かな研究計画の変更にも関連するが、内耳に誘導された小胞体ストレスの解析(形態学的解析)、内耳に誘導された小胞体ストレスによる内耳機能変化の解析(生理学的解析)の研究の進展により研究費を適切に使用できると考えられます。
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