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2016 年度 実施状況報告書

外耳・中耳に発現するABC輸送体と組織環境に伴う中耳真珠腫の発症・進行リスク

研究課題

研究課題/領域番号 15K10763
研究機関順天堂大学

研究代表者

楠 威志  順天堂大学, 医学部, 教授 (30248025)

研究分担者 中川 大  中部大学, 応用生物学部, 講師 (40397039)
豊田 優  東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80650340)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード耳垢 / 中耳真珠腫 / ABCC11
研究実績の概要

緒言:最近、ABCC11遺伝子多型(538G>A)が耳垢の性状(湿性もしくは乾性)を決定することがYoshiuraら(Nature Genetics 38:324-330,2006)によって報告された。ABCC11 538AAが乾性耳垢に対応し、538GG/GAが湿性耳垢に対応する。本研究では、ABCC11遺伝子多型に伴う耳垢の乾湿の違いが、中耳真珠腫の発生リスクに影響を与える可能性について検討した。
方法:口頭および書面同意を得た中耳真珠腫患者から、手術時に摘出される中耳真珠腫と術後血液を得た。血液から抽出したゲノムDNAを鋳型として、ABCC11 538G>Aを含む領域をPCRで増幅し、当該一塩基多型のシーケンス解析を行った。視診においては、健側および患側の病変部から離れている耳垢に着目して、その乾湿を判別した。
結果:遺伝子解析をし得た中耳真珠腫26症例全てにおいて、視診による耳垢判別結果と遺伝子解析による結果が一致することが確認された。遺伝子解析の結果、538AA(乾性)が53.8%(14/26例)、538GA(湿性)が46.2%(12/26例)であった。また、湿性耳垢群で両側真珠腫症例の発生率は58.3%(12例中7例)に対して、乾性耳垢群で両側真珠腫症例は、21.4%(14例中3例)と、湿性耳垢群の方が、乾性耳垢群より両側真珠腫症例の発生率が高かった。
視診のみで耳垢型を判別した14症例を含めると、全ての中耳真珠腫患者における乾性耳垢の割合は62.5%(25/40例)、湿性耳垢の割合は37.5%(15/40 例)であった。また両側真珠腫症発生率関しては、乾性耳垢群24.0%(6/25例)、湿性耳垢群66.7%(10/15例)と、湿性耳垢群の方が、乾性耳垢群に比べ両側真珠腫症発生率が有意に多いことが判明した(χ2 P<0.05)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ABCC11遺伝子検査した症例と視診のみで判別した症例を含めた症例数では、各項目に有意差が出ているが、ABCC11遺伝子検査のみでは、症例数が少なく統計処理は困難である。
あと、30症例は、ABCC11遺伝子検査症例を増やしたい。

今後の研究の推進方策

上記のごとく、ABCC11遺伝子検査症例を増やすために、海外協力施設であるハイデルベルク大学より、倫理委員会を介して、中耳真珠腫組織と血液などのサンプルを保存・移送して頂くことになった。当院でもさらにサンプル収集に努める。

次年度使用額が生じた理由

研究が当初の予定よりやや遅れている為、平成28年度中に購入を予定していた消耗品の購入を一部見送った。

次年度使用額の使用計画

サンプルの収集をより積極的に行い、研究の遅れを解消する為、検体の輸送費や研究遂行の為の消耗品を購入する。また研究成果発表の為、英文校正料や論文投稿料としても使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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