研究課題
緒言: ABCC11遺伝子多型(538G>A)が耳垢の性状(湿性もしくは乾性)を決定することがYoshiuraら(Nature Genetics 38:324-330,2006)によって報告された。ABCC11 538AAが乾性耳垢に対応し、538GG/GAが湿性耳垢に対応する。本研究では、ABCC11遺伝子多型に伴う耳垢の乾湿の違いが、中耳真珠腫の発生リスクに影響を与える可能性について検討した。方法:口頭および書面同意を得た中耳真珠腫患者の血液から抽出したゲノムDNAを鋳型として、ABCC11 538G>Aを含む領域をPCRで増幅し、当該一塩基多型のシーケンス解析を行った。視診においては、健側および患側の病変部から離れている耳垢に着目して、その乾湿を判別した。結果:遺伝子解析をし得た中耳真珠腫26症例全てにおいて、視診による耳垢判別結果と遺伝子解析による結果が一致することが確認された。遺伝子解析の結果、538AA(乾性)が53.8%(14/26例)、538GA(湿性)が46.2%(12/26例)であった。また、湿性耳垢群で両側真珠腫症例の発生率は58.3%(12例中7例)に対して、乾性耳垢群で両側真珠腫症例は、21.4%(14例中3例)と、湿性耳垢群の方が、乾性耳垢群より両側真珠腫症例の発生率が高かった。視診のみで耳垢型を判別した14症例を含めると、全ての中耳真珠腫患者における乾性耳垢の割合は62.5%(25/40例)、湿性耳垢の割合は37.5%(15/40 例)であった。また両側真珠腫症発生率関しては、乾性耳垢群24.0%(6/25例)、湿性耳垢群66.7%(10/15例)と、湿性耳垢群の方が、乾性耳垢群に比べ両側真珠腫症発生率が有意に多いことが判明した(χ2 P<0.05)。尚、乾性耳垢群と湿性耳垢群との間で中耳真珠腫の進展度に関する差は認められなかった。
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