研究課題/領域番号 |
15K10764
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
室伏 利久 帝京大学, 医学部, 教授 (30242176)
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研究分担者 |
小宮山 櫻子 帝京大学, 医学部, 助手 (20645923) [辞退]
坪田 雅仁 帝京大学, 医学部, 講師 (90436791)
林 裕史 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (40715166) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メニエール病 / 片頭痛 / 馴化 / 聴性誘発電位 / 前庭誘発筋電位 / 前庭眼反射 |
研究実績の概要 |
昨年度は、反復音響刺激に対する馴化について、中間潜時反応(middle latency response, MLR)に関する研究を重点的に行った。70dBnHL両耳刺激によってMLRの計測を行った。トータルの刺激回数は800回であるが、これを200回ずつの4セット(set 1, set 2, set 3, set 4)にわけ、No-Po振幅とNa-Pa振幅に関しset 1振幅に対するset 2~set 4の相対振幅を求め、その結果を、メニエール病群と前庭性片頭痛群で比較した。その結果、MLRにおいて、No-Po振幅に関しては、有意な差を認めなかったが、Na-Pa振幅が、反復刺激によって、メニエール病症例の場合には、低下する傾向を示したのに対し、前庭性片頭痛群ではむしろ、上昇する傾向を認めた。この両群の相対振幅はset4にて有意差を認めた(p<0.001, Mann-Whitney's u-test)。このことは、MLRにおける馴化の有無の検索が、両疾患の鑑別に有用な客観的な検査となり得ることを示唆するものであった。なお、set4における相対振幅を用いた場合のメニエール病群と前庭性片頭痛群の鑑別は、ROC曲線にて、AUC=0.90であり、ROC曲線から最適のカットオフ値と考えられる1.15をカットオフ値とした場合、sensitivity=0.86、specificity=0.67と実用化できるレベルのすぐれた検出力を有するものと考えられた。この結果については、平成30年度の日本耳鼻咽喉科学会と国際めまい平衡医学会であるBarany学会において発表予定である(演題は受理されている)。oVEMP、vHITにおける馴化については、現在研究進行中である。oVEMPに関するデータは近日中にまとめることができる模様である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中間潜時反応(MLR)に関する研究は、ほぼ完成しており、予想以上の進捗状況である。前庭誘発筋電位(VEMP)に関する研究はデータ集積中であり、ほぼ予定通りである。vHITに関しては、検査手技が依然やや不安定であり、前庭性片頭痛症例とメニエール病症例の単純な比較の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
中間潜時反応(MLR)に関する研究は、ほぼ完成したので、本年度中に英文論文として完成し、国際誌に投稿予定である。前庭誘発筋電位(VEMP)、とくにoVEMPに関する研究はデータ集積中であり、本年度中にデータとしてまとめる予定である。vHITに関しても、本年度中に両疾患の鑑別に有用な点を見出す方向でデータを集積、解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗物品の使用が若干予定よりすくなかったため、少額の繰越金が発生した。
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