研究実績の概要 |
t-PA産生促進刺激を用いた気道上皮細胞において実験を行い、t-PAの貯蔵、放出の調整メカニズムの有無を確認すること。血管内皮細胞におけるt-PA産生、放出の特徴は、細胞内に貯蔵をして必要な時に放出をすることである。Histamine, forskolinは血管内皮細胞内の貯蔵t-PAを短時間に放出することが知られている。このことを利用して、これらの放出刺激後30分間に培養細胞上清中に放出されたt-PAが放出されたことが報告されていることから(Huber D et al. Blood, 99:3637,2002)、放出されたt-PAは新規に合成されたものではなく、貯蔵されたものであることを示している。同じ現象は星状細胞においても確認されているため(Thrombosis and Haemostasis, 6:1796,2008)、この実験系を用いて気道上皮細胞における貯蔵、放出調整メカニズムの有無を確認する。平成27年度の実験から選出した刺激によりNHBEを刺激し、24時間後の細胞上清と細胞とを別々に回収する。①両者のt-PAを測定し、上清中に放出されているt-PAと細胞内に貯蔵されている割合を計算することができる。②その後、上述の実験系を用いて細胞内のt-PA細胞内のt-PAが放出刺激に反応して放出されるかを確認する。 ①t-PAの産生を亢進させる物質としてレチノイン酸、酪酸を、低下させる物質としてIL-13を用いた。それぞれ、NHBEからのt-PAタンパク産生を2倍、3倍、0.5倍にしたが、再生総量中の上清中への放出率は80%であった。このことから、気道上皮から産生されたt-PAタンパクのほとんどは自然と細胞外に分泌することが分かった。 ②気道上皮細胞をHistamine, forskolinにより刺激したが、t-PAタンパクの上清への放出は増加しなかった。
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