アレルゲン免疫療法におけるバイオマーカーの探索として、スギ花粉症患者の末梢血を用いて、IgG4の測定系と樹立した。ELIFABの測定系を樹立した。スギ花粉症に対して皮下免疫療法を行っている患者では、行ってない患者に対してIgG4が有意に増加し、ELIFABでは有意に抑制されることが明らかとなった。そこで、ハウスダスト・ダニアレルギー性鼻炎患者に対しても同様の結果が得られるか検討を行ったが、用いた抗原が原因なのか、同様の条件で測定できなかった。スギとの測定系の条件設定が必要であると考えられた。 舌下免疫療法を行った患者についても検討すべく、スギ花粉舌下免疫療法およびダニ舌下免疫療法を行った患者についても、投与初期のIgEとIgG4を測定し、舌下免疫療法でIgEおよびIgG4が増加することが明らかとなった。ELIFABについては現在検討中である。 研究の本題である、アレルギー性鼻炎におけるエピジェネティクスの探索について、IL-27を中心に検討してきた。スギ花粉症患者と健常者(主要な吸入抗原に感作されていない方)の末梢血単核球のIL-27産生について、フローサイトメトリーを用いて検討を行った。IL-27産生は健常者では高く、スギ花粉症患者では低い傾向があると考えていたが、FlowJo解析ソフトウエアを用いて結果を解析すると、再現性に乏しいデータとなっていた。IL-27のプロモーター解析についても思うような結果が得られなかった。現在、実験の条件設定や試薬の見直しを行っている。本研究では、先行研究で用いた抗体と同じ抗体を使用することができなかった。また、試薬や細胞を保存していたフリーザー等も、研究期間期間中に不具合を起こしたため、それらの影響も考えられる。 本研究の期間は終了してしまったが、現在も研究を継続している。
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