研究課題/領域番号 |
15K10786
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
白崎 英明 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30260772)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GPR99 / ロイコトリエンE4 / 好酸球性炎症 / アレルギー性鼻炎 |
研究実績の概要 |
目的:ロイコトリエンE4の受容体と考えられているGPR99の好酸球性炎症への関与を明らかにする目的で研究を進めている。 結果:1)ヒト鼻粘膜におけるGPR99受容体の発現と局在につき、ウエスタンブロット法と免疫組織化学にて検討した。予想に反しGPR99は主に血管平滑筋に局在していることが明らかとなった。この内容を英文誌に投稿し、すでにパブリッシュされた(Auris Nasua Larnx 44:162-167,2017). 2)好酸球性炎症にこの受容体が関与しているかを調べるために、好酸球様に分化させたEoL-1細胞株を用い検討したが、残念ながらGPR99の発現は蛋白レベルでは確認できなかった。 3)ロイコトリエンの好酸球遊走作用の有無を調べるために、Boydenチャンバー法を用い分化させたヒト好酸球細胞株EoL-1細胞にて検討した。EoL-1細胞を分化させるとロイコトリエンC4,D4,E4刺激で細胞遊走作用が確認できた。予想に反し、ロイコトリエンE4に対する反応はわずかであり、ロイコトリエンD4に対する反応が最大であった。この反応はCysLT1受容体拮抗剤にて著明に抑制されたことより、この実験系におけるGPR99の関与は低いと推察された。この内容は英文誌に投稿中である。 前述したようにGPR99が鼻粘膜に発現しているのは間違いないが、好酸球性炎症・アレルギー性炎症における役割については最終年度で明らかにしたい。今年の実験結果からは、GPR99は好酸球にはほとんど発現していないとめ、好酸球以外の細胞を用いて機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト鼻粘膜におけるGPR99の発現と局在につき確認し、成果をパブリッシュできた。 この受容体の役割について好酸球細胞株を用い検討したが、ネガティブな結果に終わった。
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今後の研究の推進方策 |
GPR99はヒト鼻粘膜では血管平滑筋に局在しているため、血管平滑筋培養細胞を用いてロイコトリエンE4刺激で細胞内カルシウム上昇反応などが起こるかを確認する予定である。 当初の目的はこの受容体が好酸球性炎症に関与するという仮説であったが、アレルギー性鼻炎の局所の好酸球にも受容体発現が確認されていないため、好酸球性炎症以外の役割についても研究を進める予定である。 ロイコトリエンと同経路で生成されるがグルココルチコイド様にアレルギー性炎症を抑制するリポキシンA4の受容体との関連性についても研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に開催された「2017 American Academy of Allergy Asthma and Immunology」へ参加したが、その旅費の確定が年度末の直前になってしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬を購入し実験を行うため、物品費として支出予定である。
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