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2016 年度 実施状況報告書

siRNAを用いた制御性T細胞の誘導と鼻アレルギーに対する新規治療法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K10789
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

鈴木 元彦  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50326138)

研究分担者 飛田 秀樹  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00305525)
中村 善久  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90360023)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードsiRNA / 制御性T細胞
研究実績の概要

RNA干渉は二本鎖RNAと相補的な塩基配列をもつmRNAが分解される現象で、1998年Andrew Z. FireとCraig C. Melloにより発見された。RNA干渉はsiRNA(small interfering RNA)という21-23bp塩基対の短い合成二本鎖RNAによって惹起されるが、siRNAを応用することにより特定の遺伝子を抑制することが可能となる。
申請者はCD40 siRNAを導入すると同時に抗原を感作した樹状細胞(CD40ノックダウン抗原特異的樹状細胞)をマウスに投与することにより、アレルギー反応が抑制されることを証明した。また、その作用メカニズムを調べた所、In vivo(生体内)にて誘導された抗原特異的制御性T細胞を介して、CD40ノックダウン抗原特異的樹状細胞がアレルギー反応やアレルギー症状を制御していることを確認した。
siRNA導入樹状細胞を投与する治療法は有用な治療手段であるが、siRNAを体内に投与することで予期せぬ副作用を引き起こす危険性を含んでいる。そこで、siRNAを用いたIn vitro(生体外)における制御性T細胞の誘導や、その制御性T細胞を用いた治療法樹立が必要とされている。
以上より、siRNAによる制御性T細胞の樹立についての研究を行ってきた。そして、H27年度はCD40 siRNA導入抗原特異的樹状細胞とTNF-alfa siRNA導入抗原特異的樹状細胞の樹立に成功した。さらに、H28年度ではCD40 siRNA導入抗原特異的樹状細胞とTNF-alfa siRNA導入抗原特異的樹状細胞によるIn vitroにおける抗原特異的制御性T細胞の誘導に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TNF siRNAを導入すると同時に卵白アルブミン(OVA)抗原を感作した抗原特異的修飾樹状細胞とT細胞を反応させることによりCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞が誘導された。また、CD40 siRNAを導入すると同時にOVA抗原を感作した抗原特異的修飾樹状細胞とT細胞を反応させることによりCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞が誘導された。
またこれらの誘導されたCD4+CD25+制御性T細胞単離し、OVA抗原特異的T細胞反応に添加するとT細胞反応は有意に抑制された。一方、誘導されたCD4+CD25+制御性T細胞はOVA抗原以外の抗原における抗原特異的T細胞反応を抑制しなかった。これらの結果は誘導されたCD4+CD25+制御性T細胞は抗原特異的に作用していると考えられた。
さらに、誘導されたCD4+CD25+制御性T細胞はIn vitroにおいてT細胞から産生されるIL-4、IL-5等のTh2サイトカイン産生を抑制した。
すなわち、CD40 siRNAを導入すると同時にOVA抗原を感作した抗原特異的修飾樹状細胞やTNF siRNAを導入すると同時にOVA抗原を感作した抗原特異的修飾樹状細胞により抗原特異的制御性T細胞が誘導しうることをIn vitroにて証明した。
以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

TNF siRNAを導入すると同時に卵白アルブミン(OVA)抗原を感作した修飾樹状細胞により誘導されたOVA抗原特異的CD4+CD25+制御性T細胞をマウスに投与してその効果を検討する。具体的には、くしゃみや鼻掻き回数をカウントして鼻アレルギー症状を評価する。鼻粘膜の好酸球浸潤、炎症細胞浸潤等をLuna染色、免疫染色にて評価する。血清中のIgE、IgG1、IgG2a、IgG2を測定する。また、脾臓よりリンパ球を採取し、分泌されるサイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13、IFN-gmma等)をELISAで測定する。脾臓T 細胞増殖を、[3H]thymidineの取り込みによって評価する。これらの結果を特異的制御性T細胞投与群、コントロールT細胞投与群、PBSのみを投与する群の3群間で比較する。

次年度使用額が生じた理由

In vitroの研究は順調にすすんでいるが、In vivoの研究については遅れている面もあり、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

CD4+CD25+制御性T細胞をマウスに投与して、鼻粘膜の好酸球浸潤、炎症細胞浸潤等をLuna染色、免疫染色にて評価する。血清中のIgE、IgG1、IgG2a、IgG2を測定する。また、脾臓よりリンパ球を採取し、分泌されるサイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13、IFN-gmma等)をELISAで測定する。脾臓T細胞増殖を、[3H]thymidineの取り込みによって評価する。そのため、マウス、抗免疫グロブリン(IgE、IgG1、IgG2a、IgG2)抗体、抗サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13、IFN-gmma等)抗体購入等にて使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Treatment of allergic rhinitis with intranasal infusion of botulinum toxin type A in mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Aoishi K, Takahashi H, Hato N, Gyo K, Yokota M, Ozaki S, Suzuki M.
    • 雑誌名

      Life Sci

      巻: 147 ページ: 132-6

    • DOI

      10.1016/j.lfs.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of Japanese cedar-specific sublingual immunotherapy on allergen-specific TH2 cell counts in blood.2016

    • 著者名/発表者名
      Nomura T, Suzuki M, Yokota M, Nakamura Y, Ozeki K, Ito Y, Tsuge I, Saitoh S.
    • 雑誌名

      Ann Allergy Asthma Immunol

      巻: 117 ページ: 72-8

    • DOI

      10.1016/j.anai.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The effect of the leukotriene antagonist pranlukast on pediatric acute otitis media.2016

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Y, Hamajima Y, Suzuki M, Esaki S, Yokota M, Oshika M, Takagi I, Yasui K, Miyamoto N, Sugiyama K, Nakayama M, Murakami S.
    • 雑誌名

      Int J Pediatr Otorhinolaryngol

      巻: 87 ページ: 34-8

    • DOI

      10.1016/j.ijporl.

    • 査読あり
  • [学会発表] IL-35によるIL-12、IL-23、IL-27(IL-12ファミリーサイトカイン)への影響2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木元彦、中村善久、横田誠、村上信五
    • 学会等名
      第65回日本アレルギー学会学術大会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京都、千代田区)
    • 年月日
      2016-06-19 – 2016-06-19

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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