RNA干渉は二本鎖RNAと相補的な塩基配列をもつmRNAが分解される現象でsiRNA(smallinterfering RNA)という21-23bp塩基対の短い合成二本鎖RNAによって惹起されるが、siRNAを応用することに より特定の遺伝子を抑制することが可能となる。以上を踏まえ、申請者はsiRNA導入樹状細胞について研究してきた。そして、申請者はH29年度にCD40 siRNA導入抗原特異的樹状細胞により誘導された抗原特異的T細胞をアレルギー感作前のマウスに投与することにより、血液中の抗原特異的IgEが抑制されることを証明した。H30年度では、H29年度の研究を発展させ誘導された制御性T細胞による鼻粘膜好酸球浸潤やアレルギー性鼻炎症状への効果について検討した。その結果、CD40 siRNA導入抗原特異的樹状細胞により誘導された抗原特異的T細胞をアレルギー感作前のマウスに投与することにより、鼻粘膜への好酸球浸潤やくしゃみ発作や鼻掻きといったアレルギー性鼻炎症状が抑制されることを証明した。またH30年度では、予防効果でなく治療効果についても検討した。即ち、siRNA導入卵白アルブミン(Ovalbumin、OVA)抗原特異的樹状細胞によりIn vitroで誘導された制御性T細胞をアレルギー性鼻炎発症後のマウスに投与し、アレルギー反応や症状に対する抗原特異的な治療効果について研究した。その結果、siRNA導入抗原特異的制御性樹状細胞に誘導された制御性T細胞は抗原特異的に血液中の抗原特異的IgE、鼻粘膜への好酸球浸潤、くしゃみ発作や鼻掻きといったアレルギー性鼻炎症状を有意に抑制した。すなわち、siRNA導入抗原特異的樹状細胞によりIn vitroで誘導された抗原特異的制御性T細胞が有用な予防・治療手段になりうる可能性が示された。
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