研究課題
我々は2003年から頭頸部癌に対してBNCTの臨床研究を行い,局所奏効率は80%以上,放射線抵感受性癌にも治療効果があることを証明した.BNCTの治療効果は18FでラベルしたBPAである18F-BPAを用いたPET検査(18F-BPA-PET)の18F-BPA腫瘍組織内放射性活性から組織内BPA濃度を推測する事で予測が可能で,我々は再発頭頸部扁平上皮癌10症例の臨床研究の結果から,18F-BPA-PET検査はBNCTの治療効果予測となる可能性を示唆した.一方,平成29年度日本硼素中性子捕捉療法学会学術集会において,藤本らは18F-BPA-PET検査の18F-BPA集積性と治療効果との関連がない癌腫を報告し,BNCTの抗腫瘍効果には腫瘍細胞のLAT1レセプターが関わっている可能性を示唆した.BNCTで使用される薬剤であるBPAは,18Fでラベルした18F-BPAを用いたPET検査を行う事で,治療前に硼素薬剤の腫瘍内集積性を予測することができる(Imahoriら,1998).従来のBNCT臨床研究では,この18F-BPA-PET検査の腫瘍内硼素集積性を数値化した上で治療適応及び治療効果予測を行ってきた.我々は18F-BPA-PET検査の結果が,放射線照射後再発扁平上皮癌症例におけるBNCTの治療効果予測に有効である可能性を示した.また,2015年に筑波大学において再発難治性頭頸部癌4症例に対してBNCTを行い,照射4週間後から各組織型に応じた化学療法や分子標的治療を補助療法として追加した.その結果,4例の生存期間平均値が12ヶ月と,従来の同様の報告と比べやや長い結果となった.症例数が少ないため統計学的な解析はできなかったが,頭頸部癌に対するBNCTは,照射後に症例に応じた補助療法を加えることで,生命予後が延長される可能性が示唆された.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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