研究課題
ヒトゲノム解析研究の成果として、ヒト細胞中には極めて多くの蛋白に翻訳されないRNA分子が転写されている事が明らかとなった。最近の研究から、これらのRNA分子は、RNA分子のままで、生体内で様々な機能を有している事が明らかになりつつある。マイクロRNAは、機能性RNA分類される19~22塩基の低分子RNAである。このRNA分子は、最終的に1本鎖のRNA分子として機能し、機能性RNA(蛋白コード・非蛋白コード遺伝子)の翻訳阻害や直接分解によりその発現制御をしている。頭頸部扁平上皮癌の臨床において、再発症例や遠隔転移を有する症例に対する治療は困難を極める。最近の分子標的治療薬も、これら症例については、効果は限定的であり、有効な新規治療法の開発が望まれている。本研究では、治療抵抗性を獲得した頭頸部扁平上皮癌、臨床検体より、RNAシークエンスを行い、全ゲノムを網羅した、「治療抵抗性頭頚部扁平上皮癌・機能性RNA発現プロファイル」を作成した。本研究で得られたプロファイル中に、passenger strandである、miR-150-3pが存在している事に着目した。これまでの概念では、マイクロRNAの生合成において、pre-miRNAから2本鎖のmiRNA duplexが形成される。そして、guide strand がRISCタンパクに取り込まれ標的遺伝子の制御を行う。これに対して、反対鎖のpassenger strandは、分解され機能を有しないとされている。miR-150-3pの機能解析から、passenger strandが、癌抑制型マイクロRNAとして機能している事を見出した。更に、miR-150-3pは、細胞外マトリックス受容体であるITGA3を直接制御している事を見出した。
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