研究課題/領域番号 |
15K10803
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
相澤 直孝 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (60464012)
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研究分担者 |
堀井 新 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30294060)
泉 修司 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20452055)
窪田 和 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40547593)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 聴覚時間分解能 / カテゴリー知覚 / gap検知閾 |
研究実績の概要 |
従来の聴力検査では聴覚時間分解能の評価を行うことはできず、簡便で信頼性の高い時間分解能の検査法を開発することを主目的に研究を行っている。これまで開発した検査機器はコンピュータのほかにデジタルサウンドプロセッサ(DSP)やアンプ、ヘッドフォンを独自に組み合わせて使用しており、音圧調整などに手間取るものであった。平成27年度より聴力検査機器を製造販売しているリオン株式会社の開発三課と共同でDSPやアンプなどを一体化した機器の開発・作成を行った。新しい検査機器では音圧の調整は数値入力するだけでよく、研究助手でも検査が可能となった。 現在は二つの研究テーマに従って研究を進めている。一つは簡便な検査法を確立することである。本研究で用いている時間分解能測定法は白色雑音に無音成分をいれ(gap)そのgapを検知するか否か、すなわちgap検知閾の測定である。gap検知閾の測定のためgapが5msのA音、70msのB音、5~70msで任意のgapをとるX音をA音→B音→X音で聴取し、X音がA音とB音のどちらに聞こえたかを回答してもらうA-B-X法を採用していた。この検査法では長時間となり被験者の集中力により結果が安定しないことが判明した。そのため、X音のみを聴取してもらいあらかじめ聴取していたA音とB音のどちらに聞こえたか回答してもらうX法を開発した。健常聴力者にA-B-X法とX法の両方を検査してもらい、いずれの方法でもgap検知閾は25msで、結果は同一となることを確認した。 もう一つの研究テーマは難聴者での時間分解能の測定である。時間分解能測定の前に純音聴力検査を行い3分法平均を測定し、そこから20dBSPL音圧を加えたうえでX法によりgap検知閾を測定することを予定している。現在、試験的に測定を行っているが高齢者のため検査法への理解が進まず安定した結果をのこせていない状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常聴力者による簡便な検査法の開発は安定した結果を残せるようになった。一方、難聴者での時間分解能検査では、簡便な検査法を用いているにもかかわらず検査を理解してもらうのに難渋し、安定した結果を残すことができない状態である。難聴者にも理解しやすいように検査法の説明などに工夫が必要である。また、研究に協力してもらえる難聴者を確保することができていない。
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今後の研究の推進方策 |
健常聴力者でのA-B-X法とX法ではgap検知閾に有意差はなく、X法は聴覚時間分解能の簡便な検査法として有意義であることを学会などで発表していく予定である。 また、難聴者での検査を進めていくため、検査法の説明を工夫するようにし、協力者の確保のため勤務施設の倫理委員会に臨床研究として申請を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に聴覚時間分解能の検査機器をリオン株式会社と共同開発・作成するにあたり高額が発生する可能性があったため、ほかの支出を抑え費用を捻出できるようにしていたことが主因である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は英文学会誌への投稿費用として使用する予定である。また、聴覚医学系や音響学系の学会参加への費用として使用することも検討している。
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