研究課題/領域番号 |
15K10807
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
岡 達郎 島根大学, 医学部, 助教 (20508923)
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研究分担者 |
横田 茂文 島根大学, 医学部, 准教授 (50294369)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発声 / 遺伝子改変マウス / 中心灰白質 / 疑核後核 / 脚橋被蓋核 / 疑核 / 運動ニューロン / アデノ随伴ウイルス |
研究実績の概要 |
本研究は、喉頭の運動を制御する中枢神経機構を機能解剖学的立場から明らかにすることを目的とし、中心灰白質から脳幹網様体ニューロンを経て、内喉頭筋を支配する延髄疑核運動ニューロンへ至る神経路の存在様式と、喉頭制御における各神経路の機能的意義を明らかにする。喉頭機能のうち、発声および呼吸に関与する内喉頭筋として、輪状甲状筋 (声帯の緊張を調節)および後輪状被裂筋(声門の開大)を取りあげ、これらの筋を支配する疑核運動ニューロンと中心灰白質との連絡様式を形態学的に解析する。 さらに、これらの神経路を最新の方法により選択的に活性化させることによって、どのような発声および呼吸の変化が生じるかを分析し、目的を達成する。 本年度はまず、マウスの輪状甲状筋と後輪状被裂筋に逆行性標識物質を注入し、逆行性に標識されたニューロンの延髄網様体における分布を解析した。ラットやウサギでの報告と同じように、輪状甲状筋の運動ニューロンは疑核の吻側部に、後輪状披裂筋の運動ニューロンは疑核の尾側部に分布する傾向を認めた。次に、コリン作動性ニューロンのマーカーとなるコリンアセチル転移酵素(ChAT)プロモーターの支配下にCreを発現するよう遺伝子導入したマウス(ChAT-creマウス)の脚橋被蓋核コリン作動性ニューロンにアデノ随伴ウイルスをベクターとして赤色蛍光蛋白質(mCherry)を導入するよう試みた。しかし、脚橋被蓋核は網様体に位置しており、コリン作動性ニューロンは広い範囲に散在することから、隣接する領域(動眼神経核や二丘体傍核など)のコリン作動性ニューロンも標識されてしまう傾向があった。疑核の領域を観察すると、標識終末はごく少数を認めるのみであった。その理由の一つとして、mCherry陰性コリン作動性ニューロンが脚橋被蓋核においてかなり多く認められたことから、ウイルスの感染効率が低いことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究計画に基づき、内喉頭筋を支配する疑核運動ニューロンへの入力について上述の結果を得ることができた。しかしながら、上述した通り脚橋被蓋核のコリン作動性ニューロンの標識精度が予想を下回り、注入条件の最適化に時間を要していることから、解析を研究計画書通りに進展させることができなかった。したがって、自己点検区分では(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、本年度は内喉頭筋を支配する疑核運動ニューロンへの入力について、光顕的・電顕的解析を進めていく予定である。また、脳内へのウイルス注入の最適条件の決定を最優先に行う。さらにDREADDシステムを利用した機能解析については計画通り本年度より開始し、刺激により活性化したニューロンの分布や、喉頭支配疑核運動ニューロンへの入力様態についての解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の研究計画調書を作成した時点では、外科的処置を行う際に必要となる手術用実体顕微鏡を購入する予定であった。しかしその後、手術用実体顕微鏡を借り受ける目処がついたため、実体顕微鏡に代えて、脳内への標識物質やウイルスの注入を安定して行うために必要なマイクロインジェクションシステムを購入した。その差し引き額により、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
主に上記の理由で生じた残額を含む次年度の研究経費は、抗体や試薬の購入、実験動物の飼育費と購入費に充てる。また、得られた成果を学会や論文で発表するのに必要な経費にも使用する。
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