研究課題
医療用内視鏡分野の発展により、咽喉頭癌の早期発見が行われるようになり、内視下、内視鏡補助下の粘膜切除術が広く行われる様になってきた。切除後早期合併症の予防、治癒後瘢痕形成による機能障害を予防する為、咽頭に対する扁平上皮細胞シート移植の臨床応用への基盤となる動物モデル(ミニブタモデル)での移植実験を行った。既に実績のある食道移植モデルと同様、ミニブタの皮膚から扁平上皮をシート状に培養し、咽頭、又は咽頭、食道境界領域に内視鏡による上皮切除を行い、移植実験を行った。ワークスペースが限られる咽頭内腔における細胞シート移植の為、新たに3Dプリンターを用いて咽頭領域に扁平上皮細胞シートを運搬、圧着する移植デバイスを作成し、知財申請を行った。移植群、対照群を比較した実験において、移植群において有意な創傷治癒の促進効果、上皮化の促進、炎症細胞浸潤の低下、潰瘍治癒後の瘢痕拘縮軽減効果を確認した。以上の成果よりヒト臨床において、新規デバイスを利用すれば細胞シートが咽頭領域へも移植可能であり、現在の咽頭表在癌の内視鏡治療での課題である術後の下咽頭の変形と嚥下機能障害に対して、予防的な効果を発揮する可能性が示唆された。これらの研究成果は現在論文投稿中である。扁平上皮細胞シートの応用例として食道表在癌に対して臨床治験が進行中である。咽頭領域においても、今回の実績をもとに、新たな移植デバイスを用いた咽喉頭領域癌に対する細胞シート移植を用いた臨床研究を準備している。
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