研究実績の概要 |
沖縄県は頭頸部癌、頭頸部重複癌が多く、原因として飲酒、喫煙に関する風習、島嶼環境下における民族特有の発癌因子代謝に関与する遺伝子多型の存在が予測される。この環境と、アルコール代謝遺伝子①ADH1B②ALDH2、たばこに含まれる有害物質の活性や代謝にかかわる遺伝子③CYP1A1④GST に着目し、遺伝子多型と交絡因子(生活習慣)を解析することにより、遺伝子多型と生活習慣が頭頸部癌および重複癌発症に与える影響、予後への影響を明らかにする。 患者の血液サンプルを採取。抽出したDNAからADH1B、ALDH2遺伝子多型はPCR-RFLP法。CYP1A1 MSPⅠ、CYP1A1 Ile462Val遺伝子多型はARKRAY社の全自動遺伝子多型解析装置を用いて解析し、GSTM1、GSTT1、GSTP1遺伝子多型はGSTM1、GSTT1をMultiplex-PCR法、GSTP1をPCR-RFLP法で解析した。口腔癌28例、喉頭癌35例、中咽頭癌68例、下咽頭癌78例、コントロール123例の遺伝子多型の解析を施行。 喉頭癌29例,下咽頭癌67例,コントロール群123例のADH1B、ALDH2、CYP1A1 MSPⅠ、CYP1A1 Ile462Val、GSTM1、GSTT1、GSTP1の遺伝子多型について交絡因子を含め統計学的検討を行った結果,下咽頭癌はADH1B*1/*1, ALDH2*1/*2 の遺伝子多型が有意に危険因子となり(OR=5.44, 95%CI=1.34-22.16, p=0.018,OR=7.19, 95%CI=2.47-20.93, p<0.001),喉頭癌はGSTM1 nullの遺伝子多型が有意に危険因子となることがわかり(OR=3.63, 95%CI=1.26-10.45, p=0.017),下咽頭癌と喉頭癌で危険因子となる遺伝子多型に違いがあることも示唆された.
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