研究課題
頭頸部扁平上皮癌は比較的稀であるが、近年増加傾向にある。進行状態で発見されることが多く、 一般的に予後不良な疾患である。疾患の早期発見や新たな治療方法の開発が望まれて久しい. Junctional Adhesion Molecule-A(JAM-A)は細胞間接着タイト結合分子の一つで近年様々な癌細胞で高発現がみられ癌の悪性化である浸潤および転移への関与が考えられている。我々は本研究において、頭頸部扁平上皮癌におけるJAM-A を用いた補助診断および分子標的治療の可能性を検討する。1) 頭頸部扁平上皮癌の悪性化に関与がみられるJAM-Aの発現調節機構の解明扁平上皮癌で高発現のみられる転写因子であるp63に焦点を当てそのメカニズムを解明した。頭頸部扁平上皮癌株および初代培養癌細胞のJAM-Aは、p63/GATA-3を介して調節されていた。さらに様々なシグナル伝達経路を介しても調節されていた。以上の結果は、英文雑誌(Oncotarget)に報告した。2)血清可溶化JAM-Aの頭頸部扁平上皮癌における新規腫瘍マーカーとしての検討昨年、頭頸部扁平上皮癌患者における血清可溶化JAM-Aの高値を報告した。今回は、術前術後の変化を調べた結果、2例ではあるが、術後の低下が認められた。頭頸部扁平上皮癌細胞における悪性化に伴う JAM-A の発現調節機構が分かるだけでなく、高発現 した JAM-A の頭頸部扁平上皮癌細胞における役割も解明されつつあり、今後さらに、可溶化 JAM-A を用いた ELISA 測定が、頭頸部扁平上皮癌の補助診断に利用できる可能性があると考えている。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度に実施する実験においては、ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた。
1.頭頸部扁平上皮において発現が亢進しているヒストン脱アセチル化酵素に焦点を当て、p63/GATA-3を介したJAM-A調節との関係を、その阻害剤を用いて検討する。2.頭頸部扁平上皮癌患者血清において可溶化JAM-Aが新規腫瘍マーカーとしての可能性を術前術後の患者血清の検索数を増やすとともに放射線治療後の血清においても検討する。
消耗品の使用が予定より小額であったため。
消耗品費として使用予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Anticancer Research
巻: 36 ページ: 5895-5904
Adv. Otorhinolaryngol
巻: 77 ページ: 92-97
Oncotarget
巻: 7 ページ: 33887-33900