研究課題/領域番号 |
15K10822
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡本 英之 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80316075)
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研究分担者 |
太田 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00326323)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / REG遺伝子 / バイオマーカー / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、頭頸部癌に対する治療効果の向上及び予後改善のため、頭頸部癌における抗癌剤・ 放射線の治療に対するバイオマーカーを同定することを目的としている。頭頸部癌におけるREG遺伝子の発現と、その発現の有無による予後や治療効果の違いを解明するとともに、REG遺伝子の頭頸部癌の治療効果に及ぼす作用機序を探求する。さらには、REG遺伝子が再生機能に関与することから、癌幹細胞の活性化を促進させる可能性があり、REG遺伝子の癌の浸潤・転移への関与についても解明する。 本年度は、頭頸部癌症例におけるREG遺伝子の発現と、発現の有無による治療効果や予後の違いについての検討、REG遺伝子を導入した頭頸部癌細胞株におけるin vitroでの細胞増殖度及び抗癌剤・放射線感受性に関する検討を行った。 その結果、下咽頭癌に対する化学放射線治療症例において、REGⅠの発現はほとんどなく、REGⅣの発現の有無は予後には関与しなかった。一方、REGⅢの発現陽性例が有意に予後が良いことが分かり、REGⅢが、下咽頭癌のバイオマーカーとなり得ることが示唆された。 次に、REGⅢを下咽頭癌細胞株に遺伝子導入し、安定株を作製した。REGⅢ発現株において、有意に増殖能が抑制された。 放射線、シスプラチン、シスプラチンと放射線のcombinationいずれもREGⅢ発現株において感受性が増強された。 以上の結果から、下咽頭癌において、REGⅢが癌細胞増殖能を抑制し、抗癌剤・放射線感受性を上げることで、生命予後の向上に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定していた実験計画を遂行できているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の結果を踏まえ、細胞増殖度に関しては、cyclin D1、アポトーシスのシグナルへの影響に関してはBcl-xl・Caspase-3などを中心に、さらに双方に関してAktのリン酸化などの発現の差をWestern blottingで検討する。また、Wound healing assay及びMatrigel invasion assayを用い、それぞれ遊走能と浸潤能についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は当初計画していた細胞培養の維持にかかる費用が軽減されたために次年度使用額が発生したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、これまでのin vitro実験において、細胞機能実験を遂行すると共に、これまでの成果をまとめ、国内外の関連学会において発表し、関連学術誌に投稿するために研究費を拠出する予定である。
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