唾液腺導管癌(SDC)における各種バイオマーカーの予後との関連や臨床病理学的意義を検討した。アンドロゲン受容体陰性、CK5/6陽性、p53-極陰性/極陽性、TP53短縮型変異は、独立予後危険因子であった。de novo発生SDCでは、PIK3CAとH-RAS変異の共在とBRAF変異を有する症例の確率が有意に高く、多形腺腫由来SDCではHER2蛋白過剰発現・遺伝子増幅やHER3・EGFR蛋白過剰発現を示す割合が有意に高いことが判明し、SDCの発癌機序は組織発生により異なることが示唆された。さらに、TP53ミスセンス変異とp53 極陽性、TP53短縮型変異とp53極陰性とに強い相関性がみられた。
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