研究課題/領域番号 |
15K10828
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 教授 (40203583)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脂肪幹細胞 / 声帯内脂肪注入術 / 声帯外傷 / 声帯再生 / CD34 / CD90 / 肝細胞増殖因子 |
研究実績の概要 |
声帯内自家脂肪注入術における脂肪の自然吸収を防止する目的で、成犬2匹を用いて脂肪細胞と乳酸リンゲル液を注入した声帯と脂肪と脂肪幹細胞を混ぜて声帯に注入した成犬モデルを作成した。動物実験後1年が経過したので、喉頭全摘を行っている。今後は脂肪細胞が占める面積と脂肪細胞周囲の血管内皮細胞数との比較を行う予定である。 また、脂肪幹細胞が声帯再生に及ぼす影響を研究するため、成犬2匹に両側声帯の上皮欠損モデルを作成し、一側声帯に脂肪幹細胞を混ぜた脂肪細胞を注入した。さらに、成犬2匹に両側声帯筋層レベルまでの切除を行った筋層切除モデルを作成し、一側声帯に脂肪幹細胞を混ぜた脂肪細胞を注入した。平成29年10月までには6匹とも動物実験から1年経過するため、喉頭全摘を行い、脂肪幹細胞を混ぜた脂肪細胞を注入なかった声帯との病理組織学的検討を行う予定である。 現在、ビーグル犬でセルーションを用いて採取した脂肪から脂肪幹細胞が精製されているかの検証を行っている。セルーションで精製した脂肪幹細胞はCD34とCD90染色で陽性の結果が得られた。また、セルーションにより精製した脂肪幹細胞のtotalRNAを、QIAGEN社のRNeasy mini kitで精製後、Invitrogen社のSuperscript II (Oligo-dT)にて逆転写を行った。その後、合成したcDNAを1ul用いてqPCRを行なった。その結果、全ての脂肪幹細胞で肝細胞増殖因子の発現が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、ビーグル犬でセルーションを用いて採取した脂肪から脂肪幹細胞が精製されているかの検証を行っている。セルーションで精製した脂肪幹細胞はCD34とCD90染色で陽性の結果が得られた。また、セルーションにより精製した脂肪幹細胞のtotalRNAを、QIAGEN社のRNeasy mini kitで精製後、Invitrogen社のSuperscript II (Oligo-dT)にて逆転写を行った。その後、合成したcDNAを1ul用いてqPCRを行なった。その結果、全ての脂肪幹細胞で肝細胞増殖因子の発現が認められた。 しかし、セルーションを用いて精製した脂肪幹細胞を分化誘導したが、現時点では軟骨細胞への分化は確認できておらず、セルーションを用いて採取した脂肪から脂肪幹細胞が精製されているかの確信は得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
摘出喉頭で脂肪細胞が占める面積と脂肪細胞周囲の血管内皮細胞数との比較を行う予定である。 また、摘出喉頭外傷モデルで脂肪幹細胞を混ぜた脂肪細胞を注入した声帯と、注入していない声帯の病理組織学的検討を行う予定である。さらに、摘出喉頭外傷モデルで声帯振動を比較検討するため、吹鳴実験も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に実験に使用するビーグル犬の購入費がほとんど不要であったため、昨年度の実験に使用する機材購入に余裕が生じた。 そのためにに余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の研究では実験に使用する試薬購入に十分な予算を計上していなかった。 そのため、今年度生じた余剰金を試薬購入など必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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