声帯内自家脂肪注入術後の脂肪吸収を防止するため、成犬の脂肪由来再生細胞(ADRCs)を混ぜた脂肪組織を声帯に注入すると、手術後1年で脂肪単独注入より多くの脂肪組織が残存し、脂肪組織内の血管内皮細胞数が多い傾向がみられた。ADRCsの肝細胞増殖因子産生能がqPCRで確認できたが、分化誘導で多分化能は確認できなかった。 ADRCsを用いて声帯粘膜上皮再生と、声帯粘膜・筋層再生を試みた。ADRCs注射群では1年後の声帯振動は良好であった。病理学的には声帯上皮と筋層の再生効果は明らかではなかったが、粘膜にヒアルロン酸増生が確認でき、再生した粘膜は肥厚し疎な膠原線維と弾性線維の増生を認めた。
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