• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

樹状細胞を中心とした硝子体内炎症惹起制御機能と糖尿病網膜症進展の分子病態

研究課題

研究課題/領域番号 15K10832
研究機関山形大学

研究代表者

山下 英俊  山形大学, 医学部, 教授 (90158163)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード糖尿病黄斑浮腫 / 炎症分子メカニズム / ステロイド / 血管内皮増殖因子(VEGF) / ステロイドレスポンダーテスト
研究実績の概要

糖尿病黄斑浮腫は視力低下の原因となり、日本に約70万人患者がいると推計される。その病態に基づいた治療法を選択することを目指した研究をおこなった。現時点で糖尿病黄斑浮腫に対する治療として適応がみとめられているステロイド治療と抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療を選択して行なった場合についての治療効果を検討し治療方法選択の妥当性を検討した。山形大学医学部附属病院眼科でDMEに対して局所薬物治療を施行され6ヶ月以上の経過を追えた81例90眼について後ろ向き観察研究をおこなった。山形大学医学部倫理委員会の承認を得た研究である。全例に対してステロイドレスポンダーテストを施行し6mmHg以上の眼圧上昇がないものはステロイド治療を開始、ステロイド治療で効果が十分に得られないものに関しては抗VEGF治療に切り替え治療を行なった。ステロイドレスポンダーは抗VEGF治療を行なった。治療開始後の視力・網膜厚の推移について検討した。経過観察中に点眼を含むステロイドのみで治療したものは44眼(49%)、抗VEGF治療を施行したものが46眼(51%)うち30眼がステロイドレスポンダー、16眼がステロイド治療で効果不十分なものだった。観察開始時,3,6ヶ月時点のlogMAR視力の推移は全症例で0.416,0.334,0.349と改善していた。ステロイド単独治療群で0.329,0.290,0.276、抗VEGF治療群で0.497,0.372,0.412だった。網膜厚の推移は全症例で87.4,414.0,428.3、ステロイド単独治療群で453.6, 379.3, 391.4、抗VEGF治療群で 522.5, 448.0, 466.9μmと改善していた。以上の結果より、糖尿病黄斑浮腫の病態に炎症の分子メカニズムが関与する患者が半数近く(90眼中44眼(49%))いること、このような患者にはステロイド治療を選択するのが適切とかんがえられた。ほかにVEGFが主たる関与をする患者もいることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

糖尿病黄斑浮腫の病態に基づいた治療法を選択することを目指した研究をおこなった。選択肢としてはステロイド治療と抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療を選択して行なった場合についての治療効果を検討し治療方法選択の妥当性を検討した。全例に対してステロイドレスポンダーテストを施行し6mmHg以上の眼圧上昇がないものはステロイド治療を開始、ステロイド治療で効果が十分に得られないものに関しては抗VEGF治療に切り替え治療を行なった。ステロイドレスポンダーは抗VEGF治療を行なった。治療開始後の視力・網膜厚の推移について検討した。経過観察中に点眼を含むステロイドのみで治療したものは44眼(49%)、抗VEGF治療を施行したものが46眼(51%)うち30眼がステロイドレスポンダー、16眼がステロイド治療で効果不十分なものだった。以上の解析結果より、糖尿病黄斑浮腫の病態に炎症の分子メカニズムが関与する患者が半数近く(90眼中44眼(49%))いることが臨床的に証明された。このような患者にはステロイド治療を選択するのが適切とかんがえられ、病態に基づく適切な治療法選択の戦略が示された。以上のことより、研究は順調に推移していると考える。

今後の研究の推進方策

平成28年度の研究方針を示す。樹状細胞の硝子体へのリクルートメカニズム:樹状細胞が硝子体内にリクルートされる分子メカニズムを検討するため、硝子体手術の材料として、細胞生物学的に硝子体細胞と樹状細胞の相互作用を検討する。さらに制御薬物を臨床的に検討する。具体的には、樹状細胞の硝子体へのリクルートメカニズム、炎症トリガーメカニズムのそれぞれの分子標的とその制御薬物を検討するため、臨床応用として、点眼または眼局所注射による眼局所投与をステロイド治療薬の作用を検討する。さらに抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)薬の硝子体注射とステロイド眼局所注射、硝子体手術、光凝固の治療効果を臨床データ分析から多変量解析を用いて、有効な治療方法選択の戦略を構築ししつつ、個々の患者での糖尿病黄斑浮腫の分子病態を検討する方法をサーチする。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (16件) (うち招待講演 11件)

  • [学会発表] 糖尿病網膜症の治療戦略2016

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第4回宮城オフサルモロジーセミナー
    • 発表場所
      勝山館(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-03-19
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病網膜症の病態と治療2016

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第79回日本皮膚科学会 東京・東部支部合同学術大会
    • 発表場所
      東京京王プラザホテル(東京)
    • 年月日
      2016-02-20 – 2016-02-21
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病網膜症の治療戦略2016

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      3回九州大学眼科研究会教育講演
    • 発表場所
      九州大学医学部百年講堂。(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2016-02-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病網膜症の診断と治療2016

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第50回糖尿病学の進歩
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京)
    • 年月日
      2016-02-19 – 2016-02-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病の診療と糖尿病網膜症の治療戦略2016

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第15回網膜ラウンジ 特別講演
    • 発表場所
      東京ミッドタウンカンファレンス(東京)
    • 年月日
      2016-02-13
    • 招待講演
  • [学会発表] 増殖糖尿病網膜症および糖尿病黄斑浮腫の治療戦略2015

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第99回秋田県眼科集団会特別講演
    • 発表場所
      秋田市ルポールみずほ(秋田県秋田市)
    • 年月日
      2015-12-13
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病診療における糖尿病網膜症診療2015

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第53回日本糖尿病学会東北地方会指定講演
    • 発表場所
      仙台市仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2015-11-07
    • 招待講演
  • [学会発表] ラニビズマブ抵抗性の加齢黄斑変性に対するアフリベルセプトへの切り替え効果の検討2015

    • 著者名/発表者名
      村上敬憲、阿部さち、西勝弘、赤羽梢、松下高幸、山下英俊
    • 学会等名
      第69回日本臨床眼科学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場・ANAクラウンプラザホテルグランコート(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-22 – 2015-10-25
  • [学会発表] 硝子体細胞新の臨床的意義2015

    • 著者名/発表者名
      西塚弘一、成味真梨、菅野彰、金子優、鈴木俊紀、山川光徳、山下英俊
    • 学会等名
      第69回日本臨床眼科学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場・ANAクラウンプラザホテルグランコート(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-22 – 2015-10-25
  • [学会発表] 増殖糖尿病網膜症の硝子体手術後視力良好症例の背景因子の検討2015

    • 著者名/発表者名
      西勝弘、西塚弘一、後藤早紀子、阿部さち、武田祐介、望月典子、山本禎子、山下英俊
    • 学会等名
      第69回日本臨床眼科学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場・ANAクラウンプラザホテルグランコート(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-22 – 2015-10-25
  • [学会発表] 糖尿病網膜症の病態と治療と糖尿病2015

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第2回とやま糖尿病合併症学術フォーラム―内科と眼科の最近の話題―
    • 発表場所
      富山市ANAクラウンプラザホテル富山(富山県富山市)
    • 年月日
      2015-09-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病網膜症の病態と治療選択2015

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第14回札幌医大研究会特別講演
    • 発表場所
      札幌市東京ドームホテル札幌(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-07-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病黄斑浮腫の病態と治療2015

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第20回東北黄斑研究会
    • 発表場所
      仙台国際ホテル(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2015-06-27
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病で失明しないために2015

    • 著者名/発表者名
      山下英俊
    • 学会等名
      第119回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌、さっぽろ芸文館、札幌市教育文化会館(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-04-16 – 2015-04-19
    • 招待講演
  • [学会発表] ステロイドで治療困難な糖尿病黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体内注射の治療成績2015

    • 著者名/発表者名
      阿部さち、後藤早紀子、西勝弘、山下英俊
    • 学会等名
      第119回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌、さっぽろ芸文館、札幌市教育文化会館(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-04-16 – 2015-04-19
  • [学会発表] 糖負荷下、DC共培養系におけるブタ硝子体由来細胞のヒアルロナン産生制御2015

    • 著者名/発表者名
      成味真梨、難波広幸、山下英俊
    • 学会等名
      第119回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌、さっぽろ芸文館、札幌市教育文化会館(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-04-16 – 2015-04-19

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi