研究課題/領域番号 |
15K10833
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 聡 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20214372)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Functional Vision Score / 視野障害 / Goldmann視野計 / Humphrey視野計 / Esterman Disability |
研究実績の概要 |
研究の第一段階としてGoldmann視野における実測III-4eと推測III-4eのFunctional Vision Scoreの比較を疾患別に行った。その結果、全体の実測III-4eのFFSは57.8±26.5、推測III-4eは54.5±26.1であった。全体では、実測III-4eより推測III-4eで有意に小さく算出された(P<0.01)。疾患別では、緑内障でおよび糖尿病網膜症、角膜疾患で実測III-4eより推測III-4eで有意に小さく算出された(P=0.002、0.02、0.003)。黄斑変性、腫瘍、視神経炎、脳腫瘍、網膜色素変性症では、実測III-4eと推測III-4eで有意差は検出されなかった。結論として、視野障害のある疾患では推測III-4eでは、実測のIII-4eに比べて小さく見積もられる可能性があることが考えられた。 次にロービジョン者のGoldmannとHumphrey視野計を用いたEsterman Disability Scoreの比較を疾患別に行った。その結果、全症例のEDSはGPにおいて44.4±31.6、HFAでは41.8±29.8であり、両者に有意差はなかった(P=0.11)。疾患別では、黄斑変性でEDSはGP:77.8±24.0、HFA:64.8±22.3、角膜疾患でGP:32.0±13.5、HFA:23.0±15.8であり、GPよりHFAでのEDSが有意に小さかった(P=0.01、0.04)。網膜色素変性症のEDSはGP:21.0±22.3、HFA:29.5±30.6であり、HFAよりGPでのEDSが有意に小さかった(P=0.03)。緑内障および糖尿病網膜症、その他では両者に有意差はなかった。以上のことより、疾患によってはGPを用いたEDSと HFAを用いたEDSが解離する可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目標は疾患別に視覚障害のQOLを調べ、疾患ごとの生活不自由さを検討することとしていた。それに対し、Functional Vision Scoreを用いた疾患別の比較とEstermna Disability Scoreを用いた疾患別比較を行うことができ、結果を出すことができた。そのため、研究の新緑状況は順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は視力、視野障害のどのような評価法が最も視覚障害者のQOLを反映しているかを検討していく方針である。特に視野障害については、今までゴールドマン視野計にて評価されることが多かったが、Estermanによる両眼視野計測とどのような関連にあるかについて検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究は予定通り進捗しているが、学会発表までは行えたが、年度内に論文掲載にまで至らなかった。そのため、論文掲載費として次年度に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに学会発表した結果について論文作成中である。次年度では論文を完成させ、その経費に使用する予定である。
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