はじめにエスターマン視野の視認検査点数を用いた視覚障害5級の特徴にてついて検討した。複数の疾患においてEsterman等級5級の特徴を検討した。対象と方法は視力検査及び3か月以内にGPとHumphrey Field Analyzerを用いて両眼開放下Estermanを施行できた患者46例を対象とした。その結果、全症例のうち14例が現視野障害によるGP等級5級に該当し、それ以外(32例)は該当しない結果であったが、Esterman等級5級で測定すると32例中15例該当した。GP等級5級に該当する症例14例中、5例はEsterman等級5級に該当し、8例は70点以下となり、5級より重度等級になる結果となった。1症例のみ視認点が100点を超えて等級に該当しなかった。GP等級に該当しない症例の約30%がEsterman等級5級に該当した。以上のことより静的視野検査により視野障害等級を判定する際には、該当しやすさの可能性を考え、検査方法および申請基準を十分に検討する必要があると考えられた。 次に視力障害者のうち、片眼失明者のQOL評価を行った。研究概要は以下のとおりである。対象と方法は、新しい視力障害の申請基準に該当し、VFQ-25を施行できた182例を対象とした。その結果、VFQ-25総合得点はクラス1片眼24.8±16.7、両眼28.3±12.0、クラス2片眼32.1±10.3、両眼29.2±10.9、クラス3片眼28.5±14.1、両眼37.3±15.9、クラス4片眼44.1±15.2、両眼43.2±18.0であった。クラス3のみ片眼の方が低い結果となった(P=0.04)。それ以外のクラスは両者に有意な差はなかった。(すべてP>0.3)以上のことより、視力障害の程度によって、視力良好眼の視力が同程度でも片眼失明症例のQOLが有意に低下することが示唆された。
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