平成27年度に実施して得られた結果、すなわちステロイド内服の治療により画像上の涙腺面積は有意に縮小したこと、また、本疾患の活動性のマーカーである血清中のIgG4、免疫複合体、可溶性IL2レセプター値が治療後に有意に下降したことについて、第55回日本神経眼科学会総会で発表した。 平成28年実施報告にある涙腺炎により涙腺が巨大化し、眼球を高度に圧迫した非常に珍しい1例の症例報告がAmerican Journal of Ophthalmology Case Reportに受理、出版された。ムンプスおよび麻疹ウイルス抗体価の測定は、新規症例が限られていたため、過去の症例の保存血清も使用して測定し、対照と比較検討した。症例数が増えた結果、ムンプスIgGは、IgG4関連涙腺炎で対照に比し有意に低く、平成28年の実施報告と反対の結果となった。一方、ムンプスIgM、麻疹IgM・IgGはIgG4関連涙腺炎と対照では差がなかった。また、IgG4関連涙腺炎では、年齢と血清IgG4値に負の相関の傾向が、年齢とムンプスIgG抗体価に正の相関が、血清IgG4値とムンプスIgG抗体価との間に弱い負の相関の傾向があった。いずれの項目も対照(IgG4関連涙腺炎以外の疾患)では相関はなく、また、IgG4関連涙腺炎、対照とも麻疹IgG抗体価との相関はなかった。以上の結果から、ムンプスウイルスとIgG4関連涙腺炎には何等かの関連が示唆された。この結果を第11回IgG4研究会で発表した。 以上の3年間で得られた結果を論文として投稿準備中である。
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