研究課題/領域番号 |
15K10842
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
直井 信久 宮崎大学, 医学部, 教授 (50211412)
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研究分担者 |
中馬 秀樹 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20244204)
杉本 貴子 宮崎大学, 医学部, 助教 (40381074)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 網膜変性 / 黄斑変性 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
27年に新しくわれわれが見いだした黄斑変性と周辺部網膜変性を併せ持つ患者群の詳細な臨床研究に、本年度も力を注いだ。われわれは、昨年度までに詳細な家系調査により約40名の患者を見いだしたと共に、それぞれの家系の関係性について特定することにほぼ成功した。そのうち、15名の患者について電気生理学的検査を含む詳細な眼科的検査を実施した。様々な検査所見から、本疾患の臨床所見について解析を進めている。また、遺伝子解析は、発症者および正常者の全エクソンのエクソーム解析の結果から、発症者と正常者のセグリゲーションを行い、その結果3つの候補遺伝子を選出した。29年度は、3つの候補遺伝子について、動物を用いた発現実験、および機能解析を進め、現在も継続して解析を推進している段階である。 (なお本変性症の研究についてはまだ遺伝子解析の最終結果が出ていないために公表できず、これ以上の詳細を記載することは差し控えたい)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソーム解析の結果から、候補遺伝子を選出し、患者と正常者のセグリゲーションを行った結果、3つの遺伝子を選出した。選出された3つの遺伝子は、網膜変性にかかわる既知遺伝子ではなく、本疾患には新規遺伝子の関与が考えられる。次の段階として、3つの遺伝子について動物を用いた発現実験、および機能解析を行っており、その時点までは順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、27年に新しくわれわれが見いだした黄斑変性と周辺部網膜変性を併せ持つ患者群の詳細な臨床研究を推進する。現在、選出された3つの候補遺伝子について、動物を用いた発現実験、および機能解析を行っている段階であり、ここを継続して最終的に原因遺伝子を突き止めるとともに、この遺伝子が網膜のどこで発現し、網膜変性を引き起こしているのかを解析する予定である。また、電気生理学的検査を用いた眼科的検査から、臨床所見についても詳細に解析し、30年度内に学会発表、および論文にてこれまでの本疾患に関する研究成果を公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)今回発見された網膜変性は、既知遺伝子によるものではなく、新規遺伝子の関与が考えられる。そのため、発現実験・および機能解析に時間を要し、次年度も研究を継続する必要が生じた。そのため、次年度に本研究の学会、論文による発表を行う予定となった。そのため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)今回発見された網膜変性は、これまでの解析により新規遺伝子による疾患である可能性が非常に高いと考えられる。選出された3つの候補遺伝子について、動物を用いた発現実験、および機能解析を継続して推進する。本疾患の原因遺伝子、および臨床所見について論文を仕上げる計画である。また、本疾患では黄斑部網膜下新生血管を発症して加齢黄斑変性類似の病巣をとることがあるが、一般の加齢黄斑変性の患者においても本疾患に類似の遺伝的な要因が働いている可能性も調査するつもりである。
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