研究課題/領域番号 |
15K10845
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
板谷 正紀 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70283687)
|
研究分担者 |
庄司 拓平 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70637058)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 光干渉断層計アンギオグラフィー / 眼底毛細血管 / 網膜微小循環障害 / 緑内障性微小循環障害 |
研究実績の概要 |
網膜微小循環障害に新たな知見をもたらすと期待できる網膜毛細血管網4層を光干渉断層計アンギオグラフィーで分離観察する方法を確立し国内学会の一般演題(第119回日本眼科学会総会)やシンポジウム(第69回臨床眼科学会)で報告した。この方法を応用して、糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症において、毛細血管瘤の存在する毛細血管網を同定することができることを示した。また、同様の方法を用いて無灌流領域の存在範囲を各網膜毛細血管網ごとに同定できることを示せるようになった。さらには、加齢黄斑変性における脈絡膜新生血管を描出できることも示した。 以上の自分の知見と国内外の学会精査および文献精査した光干渉断層計アンギオグラフィーの総説を洋書Spectral-domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases(Sandeep Saxena, Carsten H. Meyer, SriniVas R Sadda)の1チャプターに報告した。 開発した方法は、微小循環障害の関与が疑われていた緑内障性視神経障害にも応用が可能であることがわかり解析したところ、緑内障患者では網膜神経線維を保護している篩状板が存在するが、その中に存在すべき毛細血管が著明に脱落していることが発見された。本知見は解析が終わり最終年度の第70回臨床眼科学会の一般演題に応募を行ったとともに、同学会のシンポジウムで講演する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光アンギオグラフィーによる網膜毛細血管網4層の分離描出のためのアルゴリズムを完成することができ、それを網膜微小循環障害による眼底疾患である糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症へ応用し、毛細血管瘤や無灌流領域の層別同定ができることを示せたことで順調な進捗と判断する。さらには、同方法が、同じ眼底の微小循環障害が疑われていた緑内障性視神経障害の病態の鍵となる知見の発見へと発展したことも評価できると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、1,2年目で確立した方法や見いだした知見の解析を進め、臨床的意義を明らかにしていくとともに、論文へと結実させていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前倒し請求の理由としては、まず要した旅費と物品費の増加が挙げられる。旅費の増加に関しては、世界および本邦における光干渉断層計アンギオグラフィーの研究のスピードが当初の想定よりも速いことがわかり、最新の情報を入手して研究の方向性にフィードバックさせるために国内外の学会参加が増えたことが挙げられる。さらには、英語の専門書に光干渉断層計アンギオグラフィーの総説を執筆するように依頼されたことも関係した。結果として、研究の方向性の確認ができるとともに、光干渉断層計アンギオグラフィーの英語総説を日本人として初めて執筆できた。物品費に関しては、本研究の研究材料が画像や動画画像であるため、購入したコンピューターのハードやメモリをカスタマイズする必要があったことが原因である。以上より70万円の前倒し請求を行ったが、予定した国内学会を取りやめたことで、196,534円は未使用になった。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通りの旅費や消耗品として使用予定である。
|