研究実績の概要 |
網膜毛細血管網4層を光干渉断層計アンギオグラフィーで分離観察する方法を確立し国内学会の一般演題やシンポジウムにて発表した。この方法を用いて2つの疾患領域に研究を展開した。
1つは光干渉断層計アンギオグラフィーを用いて網膜毛細血管網4層それぞれを描出するプログラムを確立した。従来の蛍光眼底造影などの方法では網膜血管網をひとつの画像でしか捉えられず、4層を分離して観察する事ができなかったので画期的である。この方法を用いて糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症において毛細血管瘤や無灌流領域の存在部位を各網膜毛細血管網ごとに描出できることを示した。この知見は、国内外の学会および洋書Spectral-domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases (Sandeep Saxena, CartenH. Meyer, SriniVas R. Sadda編, Springer)の1チャプターに報告した。
2つめは、緑内障の微小循環障害への応用を行った。緑内障の発症や進行に関与すると考えられている視神経乳頭の微小循環障害を光干渉断層計アンギオグラフィーで調べる方法を確立した。従来の蛍光眼底造影などの方法では視神経乳頭の表面の状態しか描出できなかったが、光干渉断層計アンギオグラフィーを用いるて視神経乳頭の内部構造である前篩状板組織および篩状板緑の毛細血管を選択的に描出し、その密度を測定する方法を確立した。この方法を用いて緑内障眼と正常眼で比較を行い緑内障眼で篩状板の毛細血管密度が低下していることを証明できた。これら知見は国内外の学会に報告するとともに英語論文にも報告した。
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